110.旅立ちの日に ページ7
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「カズ！本当に見送りに行かなくていいの？」
和也「それ今日で14回目。お前仕事は」
「今日は休み！もうすぐでフライトだよ！行っちゃうんだよ！」
和也「うるっせえな(笑)」
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和也「俺は。昨日。言いたいこと言ったからもういいんだよ」
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とうとうやって来てしまった、翔ちゃんの海外赴任の日。
どうやらフライトは丁度正午。
私はわたわたとfishにやって来て、カズを説得していた。
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ーーーー…昨夜。
なんだか知らぬ間に菜穂さんとカズの間にあった溝というものは埋まっていて
菜穂さんはすっきりした顔で「私は翔くんについていきます」と堂々と宣言した。
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二人の間に何があったのかはわからない。
聞いてもカズははぐらかすか、黙り込むかの二択で。
きっとこれから先も、ずっと。何があっても教えてはくれないんだろう。
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「あー！もう！間に合わなくなる！知らないからね、後悔しても！」
和也「しねえよ。さっさと出てけ。営業妨害」
「〜〜〜っ、また来るから！」
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シッシッと邪魔者扱いされて悔しいけど今はそんなこと言ってる場合じゃない。
私は急いでタクシーを捕まえて空港へ。
幸い道路は混んでなくて、比較的スムーズに空港へとたどり着けた。
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バン！とタクシーの扉を乱暴に閉めて
さっきまで連絡を取り合っていた翔ちゃんの指示通りにその場所へと向かうと
そこには菜穂さんと翔ちゃんが仲睦まじそうに、日差しの光を浴びて笑い合っていた。
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思わず、口角が上がる。
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「ーーーー…菜穂さん、翔ちゃん」
菜穂「あ、Aさん」
翔「A。…じゃあ俺ちょっと連絡とかして来るから」
菜穂「わかった、ここで待ってます」
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私が来るや否や、翔ちゃんはそう言って走って奥の方へと行ってしまう。
私と菜穂さんは向かい合って、そしてお互いにふふふと微笑む。
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「晴れ晴れとしたお顔してますね」
菜穂「おかげさまで」
「誤解は解けたんですか」
菜穂「ええ」
「…なら良かったです。…あの、ひとつ聞きたかったんです」
菜穂「なんでしょう？」
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「誤解が解けたのに、なんで翔ちゃんを選んだんですか？」
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