130.絵本の中のお姫様と王子様 ページ27
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和也「…なにしてんの」
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うーん、と唸って首を捻ってる時。
ガチャと音がしてそれはスタッフルームに通ずる扉が開いた合図。
いつも通りのワイシャツに黒い腰エプロン姿になったカズが怪訝そうに私と潤くんを見据える。
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潤くんがニッカリと微笑む。
ニッコリ、じゃなくてニッカリ。
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潤「別に？何もないよ、ね、Aちゃん」
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潤くんの目が「うんって言って」と訴えかける。
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「う、うん…、普通の世間話」
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アイコンタクト。
潤くんが天使のような微笑みで満足げに頷く。
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カズはいつも通りふーん、って何の興味もなさそうに厨房へ消えていく。
興味ないんなら最初から聞くなよ！
…って思うけどここは我慢ガマン。
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潤「Aちゃん、いつまでいるの？」
「あっ…と…、カズが店閉めたら賄いを作ってくれるって言ってくれて」
潤「あー、だからお茶が4本だったわけか」
「はい…、あ、大丈夫。ちゃんとお金払ってここでご飯食べて、近くのお店とかでウインドウショッピングして時間潰ししますから」
潤「別にいてくれていいのに。どうせカズが言うには雨降りそうだって言うから客も来ないだろうし」
「いやいや…、さすがに(笑)」
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そう？って今度は心配そうに私の方を見上げてくる潤くん。
…不覚にもドキッと胸が鳴る。
喜怒哀楽がしっかりしてるんだ、潤くんは。表情も豊か。コミュニケーション能力も高い。
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おまけにこの風貌だ。
端正な顔立ちに、すらっとした手足。加えてジェントルマン？どこぞやのヒーローなの？
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真理も、お客さんの女の子たちも。
これは確かに落ちないわけが無い。
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潤「…じゃ、開店時間までは全然いてくれていいから。俺は裏で仕事あるからことちゃんと喋ってあげて(笑)」
「わかりました」
潤「じゃ」
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潤くんがひらひらと手を振ってスタッフルームに消えていくと
まるで全てを察知したかのように厨房から琴海ちゃんが出てくる。
そして壁に立てかけてあったモップを再び手にすると
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ゆらゆら、と計算尽くされてる髪の毛の巻き具合。
それを束ねた黒髪のポニーテールが揺れ始めた。
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