122.10センチ ページ19
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平日、昼間の出来事。
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和也「A？」
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すぐ近くまでやって来た、カズと目が合って
色素の薄い琥珀色の瞳がまぁるく見開いて、ぱちぱちと瞬きを数回繰り返す。
琴海、ちゃんは私の存在を知らないからか不思議そうに首を傾げていてポニーテールが揺れる。
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“A”ーーーーー…、名前を呼ばれたのはいつ振りだろう。
その薄い上唇から溢れた、私の名前は
キラキラとした意味のない熱を持つものに変わること。
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あなたはきっと、知らない。
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和也「潤まで。なにしてんの？」
潤「お前こそ…、ことちゃんと何してんだよ」
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カズたちは私たちのところまで駆け寄って来て、私と潤くんを交互に見て
どういう組み合わせだよ、ってぷはっと笑う。
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四月の半ばというのにじりじりと詰め寄る太陽は私の温度を上げて行く。
カズの隣にいるのは艶やかな黒髪を耳より上の位置にポニーテールとして結ってる琴海ちゃん。
そんな彼女と目が合った瞬間、ぺこりと会釈をされる。…できた子。
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和也「俺はただ今夜の買い出しに行ったらたまたま駅でことちゃんに会ったんだよ」
潤「ふうん」
和也「お前らはどういう組み合わせ？」
潤「ただ昼飯食ってただけだよ。ねえ、Aちゃん」
「えっ？あぁ、うん」
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まさかカズのことで相談に乗ってもらってましたー、なんて口が裂けても体が引きちぎれても言えない。
あはは…って引きつった笑いを提供して
ピンヒールを履いて来てしまったことに今更後悔する。
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ピンヒールを履いてしまったらカズとの身長の差は縮んでしまう。
…大人気ない。
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ローファーを履いて、カズとの身長の差が大きくてちょこんとしてる琴海ちゃんが羨ましいなんて
それだけでピンヒール履いた自分がバカみたいなんて
本当にバカみたいじゃない。
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潤「…あ、Aちゃん。この子が新しいバイトの森田琴海ちゃん。通称ことちゃんね」
琴海「初めまして…！森田琴海、と言います」
潤「…で、こっちが」
和也「A」
潤「え」
和也「西野A。ウチの常連だよ」
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バカみたいじゃ………ない？
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123.君の名は？→←121.春にはコイゴコロ、嘘にはシタゴコロ。
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