121.春にはコイゴコロ、嘘にはシタゴコロ。 ページ18
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外は快晴。青すぎる青空には雲がもくもくと浮かんでいて
あの雲を固めてしまえばもしかしたら、わたあめのような甘さがするのかもしれないと思った。
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潤「天気いいねー。洗濯物干してくりゃよかったな」
「あ、私干してきた！」
潤「天気予報見ときゃよかった」
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他愛ない話を繰り広げながら、向かう先はfish。
気づくと潤くんは私の歩幅に合わせてくれていて、気づくと潤くんは車道側を歩いてくれている。
…完璧な男の人。潤くんの彼女になった人は幸せなんだろうなとつくづく思う。
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私が付いて行く理由はただ一つ。私もfishで今夜はご飯を食べようとしていて
あわよくば、カズと話せるかも…なんて。
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欲張りの恋心と、淡い下心。
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潤「…あれ？」
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カズにおにぎり、また作ってもらいたいなぁ…って思いながら口元を緩めていたとき。
潤くんの歩く足がピタリと止まって。
何？って横を向けば潤くんが一点を見て目を丸くしてる。
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私は潤くんの歩む足を止めた原因がなんなのか知りたくてただの興味本位、好奇心で潤くんが見つめるその先を。
視界に入れる。
…入れる、と。
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「え…」
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数メートル先の向こうから、肩を並べて歩いてくる男女二人。
私たちから見て右ーーーー…、つまり車道側を歩いているのはいつもと違う、テキトースタイルなんかじゃなくて
黒パンに、白いTシャツ、黒いジャケット。ちょっとお洒落すぎるその格好に、長い前髪。
見間違えるはずがない、カズ。
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反対に私たちから見て左。パンツのポケットに両手を突っ込んで俯きがちにはにかんでるカズを上目遣いに見て
まあ背的に必然的に上目遣いになるんだろうけどーーーー.、ニコニコ笑ってるのは
もう私には縁がない、ブレザーとチェックのスカート。つまり制服を身に纏ってる琴海ちゃん。
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潤「…あいつらなんで」
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潤くんがぽつり、と呟く。
それから呆然としている私をちらりと見て、大丈夫、と呟く。
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私と潤くんは動かないまま。名前も知らない街行く人々は私たちを追い越していき
やがてこちらへと向かってくる、カズの顔がパッと上がった。
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