114.大問題MUSIC ページ11
.
.
“私…今日は彼とちょっと予定が…”
.
.
頬を赤らめてそう俯いたトモミちゃんは確かに可愛かった。
.
そう言えばそうだ。
新入社員たちもなんだか社に慣れて来て、新入社員と新入社員で付き合い始めたって噂も聞く。
隣の課の人は結婚して寿退社。真理は新しい彼氏をゲットしたらしいし
大学時代の親友は先月で彼氏と付き合って二年なんてインスタグラムにあげていた。
.
.
カツン…とアスファルトに伸びた自分の影を踏んで、思う。
私は………、これでいいのか？
.
.
左手首に巻きついている腕時計の針を見てから、右手でパンツのポケットに突っ込んでいたスマホを掴む。
連絡先、二宮和也。最終履歴は…何週間前？
.
記憶の糸を辿っていくと、それは翔ちゃんと菜穂さんがフライトした日以来連絡を取っていないという事実に
サァーーーー…っと血の気が引いて顔面蒼白とはまさにこのこと。
.
もう一度、左腕に巻きついている腕時計を見て無意識にアスファルトを蹴るスピードが早まっていく。
ここ最近ずっと仕事、仕事、仕事、仕事だった。
翔ちゃんと菜穂さんの問題が解決して、今まで二人が占めていた心の隙間がぽっかり空いて
その隙間を埋めるように仕事をしていたら、あらら仕事がうまくいくいく。
.
そうなると自然にベクトルは仕事の方へ向き。ルーティーンは変わらなくなってくる。
朝起きて支度して、会社に行って、仕事して、買い出しして、家に帰って寝て。また朝起きて…。
そんな日々を繰り返していたものだからプライベートに潤いをあげる余裕なんて一ミリもなかった。
.
そりゃあね？カズの顔が浮かぶ夜だってあった。
我ながらロマンチストだとは思うけどお風呂から覗く月を眺めたとき、カズもこの月を見てるのかな。とか
そういうことを思った日だってあった。だが。だがしかし。
.
思うのと、実行に移すのとじゃわけが違う。
もう数週間会ってない。顔も声も聞いていない。これは大問題。
.
.
大問題と分かってしまうと、あとは膨張していくばかり。
声が聞きたい、顔が見たい、名前を呼んでほしい。
そんな一心で早めていた足。辿り着いたーーー…
.
.
【営業中】のfish。
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4196人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
