シェリー・アンド・シェリー Part4【K.N】 (ページ12)

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91.俺は確かに君がーーー…side N ページ12

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無事、進路が決まって

残るは卒業を控えるのみ。

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引越しの準備もちゃくちゃくと進んでいて、友達も全員合格。

冬。

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夏も、秋も。

放課後、遠い場所から渡り廊下を見つめてみてもそこにはもう菜穂の姿は見当たらなくて

寂しそうにベンチだけが。ぽつん…と佇んでた。

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夏川菜穂の友達たちが校内で俺のことを睨みつける。

きっと酷い振り方をしたクソ先輩、とか思ってるんだろう。

当の本人、菜穂は俺と目すら合わせなかった。

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文庫本を見ると、チリっと胸のどこかが焼けるように痛かった。

あの笑顔が、微笑みが

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菜穂『…(笑)、眠そうですね』

和也『眠いんだよ』

菜穂『なにしてたんですか？』

和也『ゲーム』

菜穂『自業自得ですね』

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ーーー…好きだった。

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卒業式。

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*『うおおお、カズーーー！あっち行っても元気でなぁ！』

和也『暑苦しいわ！(笑) 泣くなよ！』

*『あっち行った時泊まらせて！』

和也『俺は宿代わりか！』

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＊『…二宮先輩』

いつかのあの子。

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＊『第1ボタン貰ってもいいですか…』

ごめんね。好きじゃない、とか酷いこと言って。

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和也『どうぞ』

＊『…っ、ありがとうございます…！』

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*『カズ？どこ行くん？』

和也『あー、ちょっと先行ってて』

*『オッケー！玄関で待ってるわ！』

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二年生の教室。

空っぽの教室。ガラガラ…と扉を開けてキラキラと反射する窓から差し込む太陽。

黒板の脇に貼ってある座席表を見て、“夏川菜穂”の席を見つける。

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和也『……』

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するり、とその机を撫でて

そっ…とその机の中に一つの本を入れる。

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朝のうちに油性ペンで書いた文字。“ごめん”

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ーーーー…“ 今度、読み終わったらその本貸してください。”

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和也『…ばいばい』

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返さなくていいよ。酷い振り方してごめんね。

この本は菜穂がずっと持っててくれたらいい。

好きだったよ。

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俺は確かにきみがすきだった。

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