81.熱を帯びた唇から零れるものは ページ2
.
.
知恵熱、と言うものだろうか。
.
.
「…はい。はい。…すみません、本当に。」
.
.
翔ちゃんの気持ちとか。
結局言えなかった私の気持ちとか。
菜穂さんのこととか。
カズへの会いたい気持ちとか。
.
色んなものが巡って、巡り巡って
頭が痛くなってヤバい…、と思ったから早く寝たのに翌朝起きたら思い切りだるい体。
ズキズキ…と容赦なく痛めるものは、果たしてバイキンか、それとも私の罪悪感か。
.
吐き気がして、頭痛もして、寒気もして。熱も出た。
一人暮らしは楽だけど、風邪を引いた時が一番しんどい。
はー…って棚からいつか翔ちゃんがパーティでもするかのように大量に買ってきてくれた冷えピタを取り出しておでこにペタンと貼り付ける。
.
会社には休みの電話を入れた。
ふらふら…とした足取りでベッドにボスン、と背中を沈める。
.
.
「ーーーー…」
.
.
ゆっくりと目蓋を閉じる。
すると不思議と自然と、目尻を伝う泪。
.
.
熱い。
菜穂さんを思う翔ちゃんの気持ちは、どこに向かう。
熱い。
翔ちゃんの気持ちを知っても尚、菜穂さんは翔ちゃんを選ぶだろうか。
熱い。
菜穂さんとカズの間には何があったんだろう。
熱い。
カズは何を思ってあんな言葉を言ったんだろう。
熱い。
カズ。
熱い。
カズ。
.
あぁ…………。
.
.
.
ーーーー…和也『A』
.
.
「……あいたい」
.
.
眩暈がして、唇から溢れた言葉は39℃の熱を持つ。
それは胸をジリジリと焼いていって、私の熱を上げて行く。
.
.
ぼやける視界。涙のせいか、はたまた熱のせいか。
窓から射し込む平日の太陽の光は、休日の光とは一味違う。
テレビだってやってるのは休日とは違う。
.
.
あいたい、なんてこぼしたってその言葉はただただ虚しく見慣れた白い壁に吸われるもの。
あなたに吸われたって意味がない。
言葉を吸って欲しいのは、今頃仕込みとかしてる人。
.
だって何日会ってない？…もう、会ってない。会えない。
理由、探してるのにな。
.
探して…………
.
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3819人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
