14ステ目 ページ18
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好きやった子がいる。その子は、同級生でカッコよかった。私よりも遥かに背が高くて、優しくて、空気の読める人やった。その子は空気が読めるから、私の動向を伺っててんやろうけど、私も私で相手の腹を探ってしまって、探り探りのまま別れてしまった。それが、初めての彼氏やったな。･･･なんて。
『･･･ん、･･･』
「･･･、･･･」
『･･･皓平さん･･･』
私を膝に乗せたまま寝ている。そうだ、この人も疲れているんだ。私よりも仕事があるんだから。
「･･･ん、･･･起きたん？」
『すみません、･･･足痛いですよね？』
「多分な。けど、お前が倒れるぐらいなら痛い方がマシやわ」
『･･･なんすか、それ･･･』
「お前が倒れたら、気ぃ使うねん。それぐらい分かれ」
頭に手を置かれる。目元がふんわりと弧を描く。こんな笑顔に何とも言えない気持ちになるのは、多分寝不足が祟ったからだ。決してときめいてるわけじゃない。誰がこんな人になんかなびくものか。
『私も、皓平さんが倒れたら困りますよ。気ぃ使うんで』
「なんそれ」
ゆっくりと起き上がって、隣に座る。少しして、肩が重いと思ったら、皓平さんがもたれかかって寝ていた。たまに見せる子供っぽいところ。可愛くて好きだ。
「ひーちゃん！」
『･･･あ、寝てた？』
時間確認してから相方の顔を見ると、もう行くで、と言わんばかりの顔をされた。ていうか、相方の声で皓平さんも起きたし。
『じゃあ出番なんで、それでは』
「ん･･･」
ヒラヒラと手を振られて、頭を下げて、またさっきと同じように衣装に着替える。もうほとんど衣装のままだったけど。また舞台袖に行って、出囃子が鳴って、ネタをする。ここまでにミスはない。
『ふぅ･･･』
終わると、どっと疲れが押し寄せてくる。ネタはこれで終わったにしろ、このあとは個人の企画ライブが待っている。よくもまぁこんな芸人呼んでくれるわ。
「じゃあ、また明日」
『お疲れ』
私たちはここで別れた。
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寧希(プロフ) - これはもう読んでて楽しすぎました。 (2021年7月1日 16時) (
レス) id: c56e7c09d5 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 明烏さんの書かれる文章の空気感が大好きです。これからも応援してます! (2021年6月19日 21時) (レス) id: 9e3f387fbb (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - 今日初めて読ませて頂いたのですが、文才が才能過ぎます...。秋定さんも辻さんも両方好きなので恋の行方が楽しみです！応援してますこれからも頑張ってください！ (2021年6月19日 18時) (レス) id: 5892b5d39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：明烏 | 作成日時：2021年6月19日 0時
