11ステ目 ページ15
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『はい、行く』
相方の後ろに立って、押していく。なんでこういう時気付かんねん。下げ囃子が流れて、しばらくして私たちの出囃子が流れる。相変わらずカッコいい曲だと思う。と言いつつ、相方の板付きから始まるコントやから、しばらく出ないんやけど。
「無事送り届けました」
「ありがとう」
『別に送り届けんでも･･･』
相方は案外先輩には従順やから、しっかり皓平さんの言う通り私を皓平さんの元に寄越して去って行った。
「えぇなぁ〜、最近辻󠄀さんの隣いっつもAですよね〜」
『いや、そんなん言わんでも全然譲るて･･･』
「いや、俺がAと居りたいねん」
その言葉に少し歓声が上がる。何をそんなにテンションが上がることがあんねん。やめてや、ほんま。
『辻󠄀さんには、きんが居るでしょ･･･もうそれでええやないですか･･･』
「辻󠄀さんちゃう、皓平さんな？」
『そのノリみんなが居る前でもやるんすか？』
「え？彼氏の名前呼びたないの？」
『いや、呼んどるでしょ。辻󠄀さんって』
ほんまにこのノリいつ終わんねやろ。皓平さんがノリ好きで、沢山ノリを持っとるのは知ってる。昔からの付き合いやから、尚更知っている。でも、ここまで意味の分からないノリは見たことない。これぐらいのルックスと雰囲気さえあれば、そこら辺の女なんて、さっさと捕まえられるやろ。
「夫婦漫才やないですか、もう」
『ちゃう言うてんねん』
こっちもノリは嫌いじゃないから、きんをなぎ倒すとかいうノリはやんねんけどさ。
「ほんまに？そのまま結婚する？」
『キモイっすよ』
「あ、でもAと辻󠄀さんならイカつい家庭作りそうですね」
『なんで結婚すること前提やねん』
こんなのやるためにやってないんですよ、お笑い。
「あ、そういえば大丈夫なん？寝不足やん」
『まぁ、新ネタもやらなあかんので･･･』
「あんま無理すんな？意外と華奢やねんから」
ふとした瞬間に相手の目元を触る仕草とか、こういう随所随所に女の子の扱いになれてんねやろなー、と思う。
『じゃあ、寝ますよ？』
「ええよ、ほらここ使い」
『いや、悪いですよ･･･』
「じゃあ、俺が･･･」
「お前、重いねん」
『じゃ、じゃあ･･･使わせてもらいます。その代わり！寝顔ブスなんで』
辻󠄀さんの膝で寝るってどういう状況なん？芸人としておかしない？
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寧希(プロフ) - これはもう読んでて楽しすぎました。 (2021年7月1日 16時) (
レス) id: c56e7c09d5 (このIDを非表示/違反報告)
柳(プロフ) - 明烏さんの書かれる文章の空気感が大好きです。これからも応援してます! (2021年6月19日 21時) (レス) id: 9e3f387fbb (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - 今日初めて読ませて頂いたのですが、文才が才能過ぎます...。秋定さんも辻さんも両方好きなので恋の行方が楽しみです！応援してますこれからも頑張ってください！ (2021年6月19日 18時) (レス) id: 5892b5d39c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：明烏 | 作成日時：2021年6月19日 0時
