6本目 (ak side) ページ6
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「あっきー」
「どうしたん?」
教室のドアから知ってる顔が現れる。多分俺やろな、とか考えたらほんまに俺やった。
「Aのことどう思ってるん?」
さすけの口からAちゃんの名前。どう思ってるん?と聞かれても困る。Aちゃんは、俺にとって大切な人だ。
「大切な・・・人・・・ではある」
「何?その煮え切らん感じ」
「な、なんで怒っとるんよ?」
「俺は、今のAが不憫に見えてしゃあないねん!」
さすけは癇癪持ちやから、いきなり怒ることがあるが、これは癇癪とかではなく単純に怒っている。何?不憫って。確かに彼女から好意を向けられていることぐらい俺だって分かっている。けど、俺は彼女の彼氏になれるほどの人間じゃない。
「自信が無いねん。絶対・・・Aちゃんを幸せに出来んから・・・ごめん・・・」
「分からんやん、付き合ってみな・・・!」
「分かる。分かるから言ってる」
分かる。俺じゃ、Aちゃんを幸せに出来ない。きっと、付き合ったら幻滅する。分かってるから、あえて離れてる。ある程度の距離を取っておいた方がいい。
「Aのこともっと・・・考えたげろや・・・」
吐き捨てるようにさすけはそのまま去って行った。Aちゃん、AちゃんってそんなにAちゃんのことが心配なら俺やなくて自分が付き合えばええのに。なんで、俺やねん。
あの子は、可愛い。やから、こんな俺とは釣り合わない。
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作者名:明烏 | 作成日時:2021年6月26日 10時