Meet GoodBye - BH (ページ8)

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知らないひとページ8

You side

「ヌナ」

ん……まだ起こさないで…もう少しだけ寝かせて…

「ヌナ」

うるさいなぁ。さっき寝たばっかりなんだってば…ソンホ…

ソンホ……？違う、だって…

昨夜の嫌な記憶が蘇ってきてガバッと起き上がる。額には薄らと汗が滲んでる。

「うぉ、びっくりした」

『あぁ、ごめん……おはよ』

驚きながら私が起き上がった拍子に落としてしまった毛布を拾い、畳んでソファへ置くのは弟のセフン。

「おはよう。来るなら連絡してよね。朝方にトイレ行こうとしたらソファになんか居るからビビるじゃん」

口を尖らせながらソファを通り過ぎてキッチンへ行く。少ししてコーヒーの素敵な香りが部屋に漂ってきた。

「ん。で、なんかあったの」

コーヒーの入ったマグカップをローテーブルに置き、じろりと見ながら聞いてくる。

質問には答えず、セフンの視線から逃げるようにコーヒーを口に含めばブラックコーヒーの程よい苦さが口の中に広がる。挽きたてのコーヒーには劣るけど、市販のドリップコーヒーも案外美味しいんだなぁ…なんて。

「言いにくいこと？」

すぐには答えないことに少し驚いた顔をして、カップにミルクとたくさんのお砂糖を入れてる。

そんなに入れたら病気になっちゃうよ…。

「どうせまた喧嘩したんでしょ。早めに仲直りしてよね」

あぁまた部屋が狭くなる…とかボヤいてる。

セフンの部屋にいきなり押しかけることは別に特別な事では無いし、今までもソンホと喧嘩をしたときとか、飲み会の日にはこっちの方が近いからという理由でタクシー代をケチって泊まったりしていた。

でも、セフン…今回は喧嘩なんかじゃないのだよ。ただの喧嘩の方が何百倍マシだったことか…。

はぁ。いくら仲が良くても朝からこんな爆弾落とせないし、私もまだ上手く話せる気がしない。

『ちょっとね…』

ようやく口から出た言葉。納得いかないって顔してこっちを見てくるもんだから堪らずに目を逸らした。

私も頭の中整理してから話したいし…。

「あのね、鏡見てないと思うけど全然ちょっとの顔じゃないから…まぁいいや、帰ってきたら詳しく聞く」

夜までっていう短い猶予……朝はこれ以上の追求はされないみたい。

「とりあえずシャワー浴びてきな。仕事間に合わなくなっちゃうよ」

『ん、ありがとー…セフン』

優しいセフンに甘え、私は逃げるように脱衣所に滑り込んだ。

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