Meet GoodBye - BH (ページ7)

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「Aちゃん、着いたよ」

あのあと半時間も経たず起きた彼女。隣に俺が座ってることに驚いていたけど酔っていたこともあってか、名前とマンションを聞いてタクシーに乗り込んだらすぐにまた寝てしまった。

余程疲れることでもあったのだろうか。

ベンチで大泣きしていたことを思い出し、寝顔に残る涙の跡を無意識になぞっていた。

『ん……』

やっべ…触ったのバレたか？

慌てて手を離せばゆっくりと閉じていた瞼が開き、眠そうな顔のまま窓の外を見るとマンションに着いたことを理解しハッとしてる。

よかった、バレてなさそう…

「起きた？」

『あ、はい。すみません…』

「歩ける？部屋まで送ろうか？」

『いえ大丈夫です…。ご迷惑お掛けしてすみませんでした…』

酔いはだいぶ覚めたのか先程とは全然違う様子で、ペコペコと頭を下げながら鞄から財布を取り出す素振りを見せたのでそっと手で制す。

『でも…』

「俺んち近所だし俺もここで降りるからさ、気にしないで」

彼女が目を覚ます前に支払いは済ませてあったので運転手にお礼を言い無理やり一緒にタクシーを降りる。

それでも納得いかない様子。なかなか頑固な子だな…

「じゃあ代わりに、今度飯でも。」

『代わりに？』

口から出た言葉に自分で少し驚いた。てか全然代わりになってないし…。目の前でAちゃんは戸惑ってる。

おかしい……だって俺は酔っ払いは嫌いなはず。ましてや外で泥酔して醜態を晒す女なんて以ての外。

でもなんか…はい、さようならってこれっきりで終わりにしたくないし。

俺なんかが聞いてもどうにもならないだろうけど、涙の理由も知りたい。

今は恋愛に現を抜かす暇があったら一分でも長くコンテストに向けて練習したかった筈なのに。

ただ少し、真っ赤に目を腫らして俺を見つめるAちゃんが心配だった。笑ってる顔を見てみたかった。

…とまあ、いくら御託を並べたところで結局は顔がタイプだったってこと……。男なんてみんなそんなもんだ。

戸惑うAちゃんからスマホを奪い、勝手に連絡先を交換した。

そして俺の行動に呆気にとられてるのも気にせずマンションのエントランスへ押し込んだ。

「じゃあ、また連絡する。おやすみ」

返事も聞かずに足早にその場を去った。

……ちょっと無理やりすぎたかも。

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