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「そういえばAちゃん、シャンプー変えたでしょ？」
『さすが美容師さん。これ新しいんだよね？もう把握してるんだ。』
「うちの店にも入荷してるよ。今めっちゃ売れてる。」
『うん、だって私も髪ツヤツヤになったしこれほんと凄いんだよ。ベクも結構傷んでそうだからおすすめ。』
「ははっ。普段は俺がお客さんに勧めてるんだけど。けどこれ高いでしょ？」
『うん…実は私、弟が美容師なの。訳あって今一緒に住んでて、シャンプーは弟が買ってきてくれたの。』
「えっ、弟くん美容師なの？あそこに住んでるなら職場近そうだし会ったことあるかもね。」
美容師さんってよくセミナーとか行ってそうだし、ベクは顔が広そうだから知り合いでもおかしくなさそう。
ランチの後、映画でも見に行くのかなって思ってたけど、ベクの「今見たら絶対寝る。」発言で買い物に行くことに。
連勤後ってなぜかいつも物欲が爆発する。
ストレス溜まってるからなのかな。
ベクは嫌な顔ひとつせず私に付き合ってくれて。
迷った時は選んでくれたし、買いすぎちゃって大量のショッパーは全て何も言わずに持ってくれた。
『今日はありがとう。すごい楽しかった。』
「こちらこそ。Aちゃん、本当またすぐにでも会いたいところなんだけど、実はこれからコンテストに向けてバタバタしそうなんだ。メッセージも返す暇ないくらい忙しくなるかもしれない。」
セフンも同じ職場の人がコンテストの為に毎日残ってるとか言ってたっけ。
出るからには頑張らないとだろうし、私も応援したいな。
『そっか、頑張ってね。私にもできることがあったら言ってね。全然役に立てないだろうけど。』
「あー、そうか。その手があったかあ。Aちゃん…」
『うん、どうしたの？』
初めて見るベクの真剣な顔に、心臓がドクンと音を立てる。
なんだろう。何を言い出そうとしてるのか全然わかんない。
こういう空気は知ってる。
でも今のベクからは照れや恥じらいみたいなものは一切感じられない。だから告白なんてのはありえないだろうし。
それに私たちは友人で、男女の関係になるなんてありえない。
目を合わせて数秒、私の手をがしっと握ったベクが口を開いた。
「Aちゃん、モデルになってほしい。」
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作者名：yun
| 作成日時：2017年9月2日 11時
