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「だから許すの？」
『許す許さないの問題じゃないでしょ？』
決して許されることじゃないし、許すつもりも毛頭ないのだけど。ソンホは許しを乞うために私に結婚していた事実を話したわけじゃない。
はっきりと言われたわけではないけど、あれはれっきとした別れ話だ。
「なんか納得いかないよ」
『そんな事言われてもだよ』
「むしろAヌナはどうしてそんな冷静でいられるの？」
冷静か、そう見えるのかな。
実際は昨夜から全然食事もとれていないし、結婚していた事を打ち明けた時のソンホの顔が頭から離れてくれない。
全然冷静なんかじゃないよ。
「ごめんヌナ。冷静なわけないよね。朝も目腫らしてたわけだし。それに、俺が怒っても仕方ないよね」
『謝らないでよ。セフンは私のかわりに怒ってくれてるんでしょう？むしろありがとうだよ』
私の話を聞いて、自分のことのように怒ってくれるセフンを見て温かい気持ちになる。
私は昨日一日での感情の振り幅が大きすぎて、なんだか心が疲弊してたから怒りも湧いてこなかった。
「ねえヌナ、さっさと忘れるために気分転換しようよ」
『気分転換？』
「俺の美容室来てよ。特別サービスしてあげる」
楽しそうに笑うセフン。
でも私、先週美容室行ったばっかりなんだけどな。せっかく行ったのにもったいない。
そんな私の気持ちを見透かしてか、身を乗り出して髪を一束掬いながら言葉を続ける。
「あんな男のためにした髪型なんて変えちゃおうよ。俺の手でもっといい男捕まえられるようにするから」
『セフン…なんかチャラ美容師さんみたい』
「なにそれ」
我が弟ながらドキッとしてしまった。
私にこんなことするくらいだから他の女の子やお客さんにも同じようにしているんだろうか。こんなの勘違いしちゃいそうだ。
『じゃあお願いしようかな』
「任せて。ヌナのシフト出たら教えて。俺の仕事のスケジュール見ていい日伝えるね」
『うん、ありがとう』
どうせならうんと可愛くしてもらおう。
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作者名：yun
| 作成日時：2017年9月2日 11時
