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「僕の方来れる?」
『うん…ううん…』
「どっちなの?」
『わたし泳げないんだよね』
「マジで?」
そうなのだ、運動神経はいい方出し体を動かすのも好きだけど、小学生から水泳だけは本当にできなかった。泳ぐどころか潜ることでさえ上手くできないし、足がつかないこの場所で浮き輪から離れるなんて命取りなのである。
「なら浮き輪に腰掛けて僕の方おいで、抱っこしてあげる。嫌かもしれないけど、ジェミン起こすから」
ビビリながら浮き輪に腰掛けるとジェノはわたしがひっくり返らないようにわたしのお腹に手を回した。これは正直結構恥ずかしいかもしれない。テンさんはお兄ちゃんって感じだから大丈夫だったけど、いくら仲が良くてもジェノは同い年の男の子だし…
「そのまま僕の首に腕回して」
『うぐ、もっとダイエットしとくべきだった』
「何言ってんの、充分細いよ。水のおかげもあるけど軽いし」
『最後が余計だな…』
首筋に顔を埋めると、一瞬感じた浮遊感。どんな体制か分からなかったけれど、わたしの太ももに腕を回したジェノは、空いている片手で浮き輪をひっくり返していた。
『うわっ!』
「なんでAが驚いてるの」
『わたしなら溺れちゃう…』
「そしたら僕が助けてあげるよ」
普段見上げてる人と同じ視線にいるのってなんだか変な気分だ。浮き輪をこちらに寄せたジェノはわたしを持ち上げて輪っかに通してくれた。それとほぼ同時に海中から浮き上がってきたジェミンは、俺もしかして寝てた?眠いし戻るね〜とジェノがいることに一切触れずに髪をかきあげながらゆっくり浅瀬に向かっていった。
『行っちゃった。ジェノいるの気付いてなかった?』
「気付いてたでしょ。僕が来ると思ったから驚かなかったんじゃないかな?」
『ふーん、まあ確かにあの2人とは遊ぶのしんどいもんね』
2人は沈め合いに飽きたのか、今度はビーチボールでお互いに攻撃している。そこに巻き込まれたくないのかわざわざ離れた所から陸に戻るジェミンを見て笑ってしまった。
特に何もすることがないから潮の流れに任せて浮かんでいたら、結構深いところまでやってきていたらしい。さっきまでたくさん周りにいた人は今は数えられる程度の人しかいない。白色の点々が見えるけれどあれがテトラポットだろうか。来年行こうと思ったのにまだまだ遠いらしい。
「あそこには行けた?」
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rri(プロフ) - すっごくどタイプすぎるお話です…!最高すぎます!!!これからも楽しみにしています!!! (2021年2月24日 18時) (レス) id: 476bb9a440 (このIDを非表示/違反報告)
+(プロフ) - いつも楽しませていただいてます。姉を想う主人公ちゃんが健気で、なんでこんなに良い子なのに気づかないんだ…!と毎回もどかしい感情を抱いてしまいます笑 主人公ちゃんもみんなも幸せになって欲しい泣 応援してます! (2021年2月23日 23時) (レス) id: a20d1c0829 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - 文章、展開、設定、みんな好きで何度も読み返してます…これからも楽しみに読ませていただきます!! (2021年2月12日 9時) (レス) id: 597d1257a6 (このIDを非表示/違反報告)
侑那(プロフ) - わかりそうでわからないマクとジェノの感じが読んでてワクワクします!ナナやエクソ先生たちとの関係も最高です(*´˘`*) (2021年2月8日 15時) (レス) id: 5bbaa8a42e (このIDを非表示/違反報告)
xuu(プロフ) - 語彙力ないので伝わらないかもしれませんが、もうなんというかお話の雰囲気がほんとにどタイプ過ぎます泣応援してます!更新頑張ってください!! (2021年1月17日 19時) (レス) id: c7b9fc6037 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2021年1月14日 14時