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『別に助けて欲しいなんて言ってないですけど』
「相手は男だし、何かあったら心配するだろ」
『お話して終わりかもしれないじゃないですか』
自慢ではないけれど口喧嘩では負けたことがないしイマーク相手でも勝つつもりだ。イマークはそれについても反論しようとしているけれどいい言葉が浮かんでこないのか、口をもごもごさせて大きなため息をついた。わたしはこんなことがしたいんじゃなくて、あの日わたしが似たような行動をして、ああ言われたときの気持ちをちょっと味わって欲しかっただけなのに。これでわたしまで気まずくなったら、お店の雰囲気も悪くなるだろうしここでネタバレしようと口を開こうとした瞬間のことだった。
「…そんな見た目でその性格だし、お前簡単そうに見えるんだよ。お姉さんも心配してた」
『はあ?』
「だから、遊び慣れてるっていうか…誤解されても仕方ないだろ」
『誤解してるのはあんたじゃん!実際そう言うってことは思ってたってことでしょ』
「………思わない方が無理だろそんなの。俺、お前のそういう、誰とでも仲良くする部分理解できない」
仕返ししようなんて考えるんじゃなかった。別に周りにどう思われようが、どう見られようが噂をされようがどうでもよかったし気にならなかったけれど、イマークにそう思われてたという事実が想像より遥かにわたしの胸に深く突き刺さる。……そりゃそうか、自分が塾帰りなのにわたしは遊んでて、おまけに親友とキスをしていたし、服装が乱れていて何度言っても直さない。全部本当のことだし否定できないから仕方ない。わたしはわたしが憧れていた楽しい高校生活を送れて満足していたけれど、ほんのちょっとだけ、小学生の頃に見たあの雑誌を恨めしく思った。
『テンさんたちは…さっきの人はバイト先の大学生で、わたしのことそんな目で見てないし、第一わたしだってそこまで軽くないです』
「……えっ?」
『理解しなくていいです、して欲しくもない』
イマークの顔は一切見ずに追い抜くと、名前を遠慮がちに呼ぶ声が耳に届いたけれど。こんな顔は見られたくない。奮発して防水のカメラを買ったと豪語してきたジェミンと、テトラポットで写真を撮る約束していたのにな。こんなことになるなんて予想もしてなかった。あの日、お姉ちゃんをイマークの元に行かせなければよかった。そうすれば余計なことに気付かずにこれからも過ごしていけたのに。
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rri(プロフ) - すっごくどタイプすぎるお話です…!最高すぎます!!!これからも楽しみにしています!!! (2021年2月24日 18時) (レス) id: 476bb9a440 (このIDを非表示/違反報告)
+(プロフ) - いつも楽しませていただいてます。姉を想う主人公ちゃんが健気で、なんでこんなに良い子なのに気づかないんだ…!と毎回もどかしい感情を抱いてしまいます笑 主人公ちゃんもみんなも幸せになって欲しい泣 応援してます! (2021年2月23日 23時) (レス) id: a20d1c0829 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - 文章、展開、設定、みんな好きで何度も読み返してます…これからも楽しみに読ませていただきます!! (2021年2月12日 9時) (レス) id: 597d1257a6 (このIDを非表示/違反報告)
侑那(プロフ) - わかりそうでわからないマクとジェノの感じが読んでてワクワクします!ナナやエクソ先生たちとの関係も最高です(*´˘`*) (2021年2月8日 15時) (レス) id: 5bbaa8a42e (このIDを非表示/違反報告)
xuu(プロフ) - 語彙力ないので伝わらないかもしれませんが、もうなんというかお話の雰囲気がほんとにどタイプ過ぎます泣応援してます!更新頑張ってください!! (2021年1月17日 19時) (レス) id: c7b9fc6037 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2021年1月14日 14時