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5月も終わりに近付き、一旦友達作りが終了しそれぞれのポジションを確立できた子達が増えたところで次にやってくるのは避けて通れない恋愛話。
つい先週隣のクラスの何とかちゃんって子とサッカー部の先輩が付き合ったことにより、前にもまして色めき立っていた。わたしはそれがめちゃくちゃ面倒くさくてうんざりしている。
以前から誰がかっこいいとか、誰が人気、スポーツ推薦で入学したとかそういう事実が出回るものならあったし、わたしもへえ〜そうなんだ〜と盗み聞きをしていることもあったけど、毎日のように誰と誰がキスしていたとか、もう最後まで済ませたらしいとか、誰が誰を好きだとかを耳にしてお腹いっぱいだ。
『噂話しないと死ぬんか?って感じなんですけどどう思います?』
「高校生なんてそんなもんじゃない?興味無いの?」
『無いです、恋愛なんていつでもできるしわたしは今を楽しみたいのに』
「意外だな」
元々噂話や、〜らしいという出処不明の話のネタが大嫌いなわたしは、この状況にうんざりしていた。避難場所に選んだのはギョンス先生がいる資料室。どこかの少女漫画みたいに屋上の鍵を極秘入手できるはずないし、鍵の壊れた空き教室なんてあるわけない。人が寄り付かない場所を考えたらぱっとギョンス先生が浮かんだのだ。断られるかの思ったけれど、うるさくしなければいいと許可を頂けたため、たまにここにやって来る。先生の机に増えて行くお菓子はわたしからの貢ぎ物だ。
「横になるならジャージに着替えな。制服がシワになる」
『……ギョンスママ』
「追い出すよ」
追い出そうとしなくても、予鈴まであと5分を切ったからそろそろ迎えに来るはずだ。この癒しの場所を知っている唯一の人は、わたしが授業にきちんと出るようにと先生からここで過ごしていることを聞いたらしい。うるさくしないし口外もしなさそうな人としてジェノをチョイスした先生は大正解だと思う。
「失礼します…あ、いた。授業始まるよ」
『次の地学のハゲわたしのことやたら指すから無理』
「こら。ギョンス先生も授業あるし困らせないの」
ジェノはソファで横になっているわたしと目線を合わすようにしてしゃがんだ。皆が噂をする中、この人だけは何も言わず、初めて会った日と同じように目を三日月形にして、好きとか嫌いとかよく分からないね、そう困ったように呟いた。周りの話題に賛同できないのはわたしだけじゃないんだ、と安心していた。
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rri(プロフ) - すっごくどタイプすぎるお話です…!最高すぎます!!!これからも楽しみにしています!!! (2021年2月24日 18時) (レス) id: 476bb9a440 (このIDを非表示/違反報告)
+(プロフ) - いつも楽しませていただいてます。姉を想う主人公ちゃんが健気で、なんでこんなに良い子なのに気づかないんだ…!と毎回もどかしい感情を抱いてしまいます笑 主人公ちゃんもみんなも幸せになって欲しい泣 応援してます! (2021年2月23日 23時) (レス) id: a20d1c0829 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - 文章、展開、設定、みんな好きで何度も読み返してます…これからも楽しみに読ませていただきます!! (2021年2月12日 9時) (レス) id: 597d1257a6 (このIDを非表示/違反報告)
侑那(プロフ) - わかりそうでわからないマクとジェノの感じが読んでてワクワクします!ナナやエクソ先生たちとの関係も最高です(*´˘`*) (2021年2月8日 15時) (レス) id: 5bbaa8a42e (このIDを非表示/違反報告)
xuu(プロフ) - 語彙力ないので伝わらないかもしれませんが、もうなんというかお話の雰囲気がほんとにどタイプ過ぎます泣応援してます!更新頑張ってください!! (2021年1月17日 19時) (レス) id: c7b9fc6037 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kiki | 作成日時:2021年1月14日 14時