・ ページ11
最悪だ、何が最悪かというとシューシー先輩と楽しく遊んだその帰りにイマークと遭遇したこと。思わずげっという声を出してしまったけれどわたしは何も悪くない。
「1人でこんな時間までなにしてんの?」
『シューシー先輩と遊んでました。家まで送ってくれるって言ったけどわたしと先輩反対方向なので断りました』
「…付き合ってるの?」
『付き合ってません。男女2人で遊んだら付き合ってるって考え方が古臭いですよ。まあキスはしましたけど、内緒ですよ』
「キッ…!あいつ知ってんの!?」
『あいつ?もしかしてお姉ちゃんのこと言ってます?』
そういうイマークはきっと塾帰りかなんかだろう。見るからに教材が詰まっています!って感じの鞄を片手に持って大きなあくびを漏らした姿に、ああこの人も人間なんだなあと当たり前のことを思った。
「…通り道だし駅まで送ってく」
『大丈夫です』
「もう11時前だし…何かあったら気分悪いだろ僕が」
『最後の余計すぎませんか?』
イマークと2人きりなんて、学校生活についてめちゃくちゃ口出してきそうだからマジで勘弁…そう思ったけれど、前言っていたようにプライベートの時間だからか一切話題は出してこないで、代わりにあの4人が中学でどんな感じだったかとか、仲良くなったキッカケを楽しそうに話していた。自分に与えられた仕事はきちんとこなすけれど、それ以外では案外緩かったりするのかな…。
「家の人心配しないの?」
『普段からバイトしてますし、連絡さえしておけば言われないです』
「女の子の家なのにそんなもんなんだ」
『う〜〜ん、それはまあ、わたしだからっていうのもありますけど』
わたしは案外なんでもそつなくこなせるタイプだから、Aは大丈夫ねって親にずっと言われてきた。比べられたことはなかったけれど、その分お姉ちゃんに手が回る訳で。お姉ちゃんはおっとりしているし自己主張が強くなく、我慢強いタイプだったからそうなってしまうのも理解できるけれど、幼いわたしは少し寂しかった。幸いポジティブでプラス思考なわたしは、それならわたしは好きにやろうという発想になり、今のような感じになったんだけど。
『本当に反対なんですよわたしたち…つまりそういうことです』
「…よく分からないけど駅ついた。明日遅刻するなよ」
『ありがとうイマーク』
わたしの中でイマークが、クソ真面目で嫌いな奴から、ちょっと真面目でちょっと苦手な奴になった日。
1306人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rri(プロフ) - すっごくどタイプすぎるお話です…!最高すぎます!!!これからも楽しみにしています!!! (2021年2月24日 18時) (レス) id: 476bb9a440 (このIDを非表示/違反報告)
+(プロフ) - いつも楽しませていただいてます。姉を想う主人公ちゃんが健気で、なんでこんなに良い子なのに気づかないんだ…!と毎回もどかしい感情を抱いてしまいます笑 主人公ちゃんもみんなも幸せになって欲しい泣 応援してます! (2021年2月23日 23時) (レス) id: a20d1c0829 (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - 文章、展開、設定、みんな好きで何度も読み返してます…これからも楽しみに読ませていただきます!! (2021年2月12日 9時) (レス) id: 597d1257a6 (このIDを非表示/違反報告)
侑那(プロフ) - わかりそうでわからないマクとジェノの感じが読んでてワクワクします!ナナやエクソ先生たちとの関係も最高です(*´˘`*) (2021年2月8日 15時) (レス) id: 5bbaa8a42e (このIDを非表示/違反報告)
xuu(プロフ) - 語彙力ないので伝わらないかもしれませんが、もうなんというかお話の雰囲気がほんとにどタイプ過ぎます泣応援してます!更新頑張ってください!! (2021年1月17日 19時) (レス) id: c7b9fc6037 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:kiki | 作成日時:2021年1月14日 14時