mellow

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あっというまに最終日になり、今日は13時になったらあとは好きにしていいらしい。2日とも意外と体力を消耗していたらしく、お手伝いが終わるのは早かったけれど、そこから出かける元気なんてなくてとにかくずっと寝ていた。昨日と一昨日のうちにやろうと買ってきた花火は無駄にしたし、夜になったらこの辺を散策する約束をジェミンとしていたけれどそれが果たされることはなかった。今日は最終日、海に今年はもう来ることはない気がするから何がなんでも遊んでやる。






イマークがわたしに話しかけてこようとしているのは分かるんだけど、あと1歩が足りないらしく(向こうが勝手に)申し訳なさそうに、気まずそうにしている。そのくせお姉ちゃんに話しかけられたら気難しそうな顔から一転して花が咲いた笑顔になるため、わたしはそれに対してのほうが腹が立っていた。そのままずっとわたしのことで頭がいっぱいになってればいいのに。






「A、夕方までいるつもりならここ行かない？」
『ビーチ？？』
「おじさんに教えてもらった。A頑張ってたし連れてってあげる」





ここから歩いて15分くらいのところにあるまた別の海岸。そこはどうやら遊泳が禁止されている場所らしく、その代わりに釣りをしたりフォトスポットとして使用されているらしい。ジェノはおじさんからもらったのか、少しくしゃくしゃになった紙を広げて、あんまり有名じゃないらしいから人も少ないよ、とイタズラが成功した男の子のように笑った。






『…花火』
「する？」
『怒られるかな』
「ちゃんとゴミ持って帰れば大丈夫でしょ。あ、あいつらに言うと着いてきそうだから僕と2人だけの秘密ね」







お姉ちゃんは明日から塾が再開されるらしく、今日は時間になったらすぐに帰ると告げたお姉ちゃんは、おじさんとスタッフさんに丁寧に挨拶をしている。お兄さんが帰省中らしいイマークが、それなら一緒に帰ろうとどもりながら誘うと、そこにいた全員がイマークの気持ちを知っているのか生暖かい目でその光景を見守っていた。ジェノはきっとそれでわたしを気にかけてくれたんだと思う。








13時になったら海で遊んでしばらくしたらジェノとそこに行こう。別にわたしは悪いことはしていないんだから、お姉ちゃんに罪悪感を抱く必要は無いのだ。







呼び込みを続けていると両耳にたくさんの見慣れたピアスをしている後ろ姿が目に入ったから、その人の背中を軽く叩いた。

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