大嫌いなきみへ (ページ24)

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『おはよう…』

こんなに休んだ気にならないのは初めてだった。休んだ気にならないっていうか、日曜を思い出せない。土曜日は普通に映画を見て、ご飯をおいしいねって言って食べて…おいしいね？一人暮らしなのにおいしいねって言って食べてたらやばくない？おいしいな、とは思うことはあるけれど。おいしいねってまるで誰かといたような感じがする。でも、人がいた形跡はないし、呼んだ記憶もない。

「……おう」
『…マークどうしたの？顔やばくない？』
「や、なんか、怪奇現象…」
『ポルターガイスト的な？お払いすれば？』
「そういうんじゃないけど」

私と同じかそれ以上に顔色の悪いマークがいて、話を聞いたらそんなことを言ってきた。そういえばマークって怖いのだめなんだっけ。全然へっちゃら！みたいな顔しているのに絶叫系もだめだって言ってたような気がする。それならいつか無理矢理にでも乗せようよ、って、誰かと話した。………誰だろう。すごく最近の気もするし、うんと昔のような気がする。忘れてはいけないことを忘れてしまっているような、お腹の中がぐるぐるして気持ち悪い。

「A、今度ご飯行かない？」
『うん、いいよ。ジョンウ先輩とルーカスはいつ都合がいいんだろう』
「そうじゃなくて、その、2人でがいいんだけど…」
『え？』
「中学が同じだって話したじゃん。そのときのこと話したくて」
『ええ、いいよいまさら、関わりなかったんだし』
「そうなんだけど、うーん、話しておかないと誰かに怒られそうで…」

それが“誰か”というのに、マークはイマイチピンと来てなさそうだった。変な話だけれど、私も今ピンと来ない“誰か”がいるんだけど、それは同一人物だったりするのだろうか。

マークのことをちょっと嫌いだと言った人がいたな、珍しい人だなあって、思ったことがある。それが誰か私も思い出せないのだ。

『いつ行こっか？』
「ん～いつでも、あ、でもあいつは……」
『あいつって？2人で行くんでしょ？』
「………うん、ああ、そうだ。あいつって誰だ？」
『？さあ』

カレンダー捲っときますね～、部署の壁に入ってあるカレンダーを勢いよく後輩が捲る。月が変わるといつも忘れてしまう私たちと違ってよくできた新入社員だと感心した。

9月1日、残暑はあるけれど夏が終わり秋が訪れたような気がした。