・・ ページ19
本当に笑えない、私はどうやら幽霊らしい。幽霊になったのは一億歩譲って許すとして、心の底から本当に疑問なのはなぜドヨンの元に来たのかということ。幽霊は心残りがあるから現れるなんて話も聞いたことはあるけれど、ライブ楽しかったなあって、それくらいはあったけれど、ドヨン個人に対してこれっぽっちもない。
ドヨンはお家に着いたかな？私がいなくて驚いてる？それか清々してる？可愛い女の子と共演して私の事忘れちゃってたりして。たくさん歩いたし頭も痛いしなんだか疲れた。今日はこのまま眠ってしまおう、冷たいベンチに横になると、鈴のように透き通っている声が聞こえた。きっと気のせいだろうなあ。だって私は透明人間なんだもん、ドヨンとテンちゃん以外には誰も見れないし、声だって聴こえない。
すべてを諦めて目を閉じたままでいたら、私の頬が暖かくて小さな何かに包まれた。眠気に対抗して目を薄く開くと、その人が優しく微笑んだ。
「少しは温まりましたか？」
『あ…はい』
私の目の前で笑うお姉さんには何で私が見えているんだろう。それにしてもとんでもなく美人だ、おまけにいい香りもして髪もつやつや、それに何だかすごく落ち着く雰囲気をしている。
こんなところで寝ないでがんばって起きて！私のお店に行こう！とほぼ引き摺られているかのように歩いていたときは、どこに行って何をされるかよりも«このままだとお姉さんがやばいやつ認定されてしまう»という焦りの方が強くてどうするべきか迷っているうちに、目的地に到着したらしく連れてこられたのは、お姉さんのバイト先らしいこじんまりとした花屋。
適当なところ座っていいよ、と言う言葉に甘えて、１つだけ端に避けてある椅子に腰を下ろした。
お姉さんが入れてくれたココアは私には若干甘かったけれど、気持ちを落ち着かせるのにはちょうど良かった。これでお腹を満たすことが出来たら最高なのに、私が空腹を感じることができないのは幽霊だったからなのか、と納得をしてしまった。
『お姉さんはこんな時間にどこに行こうとしてたんですか？』
「もう1つバイトしてるんですけどその帰りでした」
女の人と話したのは久しぶりだから嬉しくなって、他にも色々聞いていたら結構な時間が経っていた。時計を見たらもうすぐ日付が変わる時間だ。居心地がいいからってここにずっといるわけには行かないと腰を上げようとした瞬間、勢いよくお店のドアを叩く開く音がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1062人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
am - ウェブからですが…一気読みさせて頂きました…別のお話で主さんに出会って、他の作品も読んでみたいと思い…このお話凄く感動しました大好きです😭今まで見たものの中でいちばん😭これから何度も読み返そうと思います！ (8月13日 15時) (
レス) @page44 id: ac71b3b21f (このIDを非表示/違反報告)
ye8(プロフ) - stellaは何度も読むぐらいすきな作品なので主人公の登場にわきました！これからも応援しております (2022年10月5日 20時) (レス) id: df52ff380a (このIDを非表示/違反報告)
donut(プロフ) - 大好きです。 (2022年10月5日 14時) (レス) id: 26b0a97f67 (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - テンちゃんのことも忘れてるのが切なすぎます(TT)徐々に謎が解き明かされて行くこと、2人の関係性の進展、気になります…！更新、kikiさんのペースで頑張ってください、楽しみにしています！ (2022年9月4日 18時) (レス) @page26 id: 1da797eec3 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - 更新嬉しいです(TT)kikiさんの文章大好きです！ (2022年8月27日 15時) (レス) id: e88d06d936 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kiki
| 作成日時：2020年4月4日 17時
