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私のヘアメンテナンスの方が早く終わり帰る支度をしていたら「連絡先交換しよう」とヘチャンさんがスマホを差し出してきた。いつも通り断ろうとしたけれどそれが出来なかったのは、根本だけブリーチ剤が塗られていているオールバックのヘチャンさんが思ったよりツボに入ってしまったから。私は役柄もあるけれどイメージ管理のためにも染髪をしたことがないため、その状態がおかしかったのだ。
『…ふ』
「笑っ……」
『笑ってません』
「笑ったじゃん」
『ないです』
「なに、俺の魅力に気付いちゃった系？」
『冗談はその顔だけにしてください』
「………」
『ふふ、嘘です、ごめんなさい』
口を尖らせて拗ねたふりをしたヘチャンさんが初めて同年代に見えて、堪えきれずに口角をあげてしまった。笑ってないと言い逃れが出来ないことを面倒に感じつつ緩んだ気持ちを引き締め連絡先は教えられないと首を振った。
「ジェノは？」
『はい？』
「連絡先知ってるの？」
『知らないですよ』
「そっか」
『…何でですか？』
「絶対あいつより早く聞き出してやる」
『絶対教えないので諦めてください』
「……ふん」
ツンとそっぽを向いて鏡の中の自分に向けてカメラを起動させたヘチャンさん。「髪染めてるとシズニが喜ぶの」『へえ』「カムバ近いのかな〜って。可愛いよね」イジェノもヘチャンさんもファンのことを話すときはとびきり優しい表情をする。“いいファン”ではない人たちの話をしているときは、この世の終わりってくらい冷たい怖い顔をしていたけれど、そうじゃない人たちがものすごく支えになっているんだろう。ファン関連だったり、行動や言動についての批評はアイドルの方が過激みたいだしストレスがすごそうだ。
『お疲れさまです』
「次会ったら呼び捨てでいいよ」
『嫌です、誰かが聞いててあれこれ言われたくないので』
「そんなん誰も気にしないよ」
これ以上ここにいたらヘチャンさんのペースに呑まれてしまいそうだ。マネージャーから到着したと連絡があったからさっさと帰ろう。明日はドラマ撮影初日、最も重要なクランクインの日だ。帰ったら台本を読み返して、それでーー今後の予定を組み立てていたらヘチャンさんが、ゆっくりやすんでね、と呟いた。
「またねAちゃん」
『……うん、またね、ヘチャン』
最後までやられっぱなしは悔しいからやり返してやろう。ぽかんと口を開けているヘチャさんの間抜け面を写真に収め、私は美容室を後にした。
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Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
