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寝かけていたら片耳が開放的になり、イヤホンが抜かれたのだとほぼ機能していない脳でなんとか判断できた。そこには言わずもがなヘチャンさんがいて「俺たちの曲聞いてるじゃん」と、それを自分の耳に嵌め込んだ。……最悪、この前買い換えたばかりなのにまた買い直さなきゃじゃん。「あ、なんで止めちゃうの」鼻歌はしっかりうまくてさすがメインボーカルだと関心するけれど、距離が近いし馴れ馴れしいしでむかっとする。
「有線派なんだ、俺と同じじゃん」
『…………』
「てかさ、カメラ回ってないからっていくらなんでも感じ悪すぎない？」
『ヘチャンさんに愛想振り撒いて私が得することありますか？』
「そういう話じゃなくてさ」
カラー剤を持ってきたオンニのおかげでそれ以上話し掛けられることはなかったけれど、チラチラ送られてくる視線がうっとうしい。オンニに謝って席を離れたところにしてもらおうとしたら「Aちゃんどこ行くの？」とテレビ用の笑顔を向けられたことで全身に鳥肌が立つ。どちらかと言えばヘチャンさんも使い分けが上手い方だと思う。きっとこれは同族嫌悪ってやつだ。
「俺とAちゃんってどこか似てるね」
『……』
「思わない？」
『全く思いません』
「つれないな〜」
切り上げたいのに謎に続いてしまう会話は、中身のあるものではなかったけれど退屈だとは思わなかった。ヘチャンさんは聞いてもないのにペラペラとアイドルの裏事情を話してくれた。役者も役者で色々あるけれど、平均年齢が若いアイドルはそれ以上に色々あるみたいで、どこのグループの誰々が遊び人だから気を付けろ、とか、あの子は話を盛って話す癖があるから関わらない方がいいとか、私には必要ない情報までなんでも教えてくれて逆に心配になってしまった。
『そんなに私に話して大丈夫なんですか？』
「だってAちゃんに悲しい思いしてほしくないもん」
『…………チャラ』
「そう見えるかもしれないけど俺チャラくねーよ。そんな暇ないし」
『……どうせ嘘でしょ』
「そう思ってるなら思ってればいいよ」
私のトリートメントはヘチャンさんがカラー剤を塗り終わってからだから、早く塗り終わらないかなってその光景を眺めている。オンニに「仲良くなれそうでよかったね〜」と笑顔を向けられたから、否定したくてもできずに苦笑いを返しておいた。
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Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
