・ ページ7
「ジェノとは仲良かったんですか？」
『顔見知り程度です』
「仲良いです〜って言われたら俺Aさんのこと一生信用できなくなるところだった」
『は？』
ヘチャンさんのカラー剤を作りにオンニが裏に引っ込んだとき、それまでずっとスマホをいじっていたヘチャンさんが突然話を振ってきたため素直に答えると、初対面同様の人物に言うべきではない言葉を投げ掛けてきた。しかも態度も若干悪い、私が言えたことではないけど。
「昨日のジェノに対してのあれが本性なんでしょ？子供からやってきて、変な噂1つも聞かなくてすごいなって思ってたけど、この世界長くやってれば顔の使い分けもうまくなるよね」
『…………』
それはそっちも同じでしょ、その言葉をなんとか飲み込む。昨日のヘチャンさんは、率先してエピソードを話したり場を盛り上げたりしていたけれど今はどうだ。同い年ではあるけれど、先輩の私に向かって信じられないくらい失礼な発言をしている。「ああ見えて周りのことは誰よりも把握してるし頭の回転が早いから頼りになるんだ」昨日、軽くメンバーの性格を教えてくれたイジェノはそう言ってたけれど、それは過大評価なのではないだろうか。
「Aさんって生きづらそうだよね」
『…そんなの皆一緒ですよ』
「そうじゃなくて、ストレスの捌け口とか無さそう。ぜーんぶ1人で解決するタイプじゃない？」
『別に、マネージャーもいますし』
「仕事の話しかしないでしょ。収録の休憩中だってずっと無言だったじゃん」
『……何が言いたいんですか？』
「俺と友達にならない？もう本性はなんとなく分かったし、同い年だし、どう？悪くない話だと思うけど」
……友達？私とこの人が？絶対嫌だしありえないでしょ。同年代の共演者全員をこうやって口説いているんだ。それで、計画通り自分に落ちそうになったらやることやってポイに違いない。正直、男女関わらず売れっ子アイドルのそういう話は何度か耳に挟んだことがある。まだ、彼らのグループに関しては1人も聞いたことはないけれど、この人はあと数年したらお腹いっぱいになるくらい流れてきそうだ。
『なりません。もう話し掛けないでください』
音量マックスでイヤホンを耳にさすと、昨日勝手に追加された彼らのグループの曲が流れ始めた。女に苦労しないくせに一途な片想いの曲なんか歌いやがって。恋愛なんてまともにできないだろうね、と思いながらこれを聞いているファンの子がかわいそうだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1113人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
