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楽しかった直後の仕事はちょっと憂鬱だ。こんなこと思ってはいけないんだけれど、話が盛り上がると毎回思ってしまう。スケジュールがきつきつなのと次に遊べるのがいつになるのか分からないのもあって会った後は地味にテンションが下がってしまうのだ。ジェノとばいばいした後も寂しいけれどそれとはまた違う寂しさで……。セッティングが終わるのを待っていたらどこからか視線を感じ、それを辿るとその先には入口付近に突っ立っている深く帽子を被った男の人がいた。私が気付いたことに気付くと、その人はスタジオを出て行った。
『トイレ行ってきます』
…スタジオ内って本当に簡単に出入り出来るんだなあって、右に曲がったその人を軽い足取りで追い掛ける。思っていたよりもゆっくり歩いていた背中を捉えた私はその人の名前を呼んだ。
「どんな感じの撮影なのかちょっと見たくて。ていうか警備ガバガバすぎない？」
その人ーージェノは「俺も雑誌の撮影があったの」と私の頬を撫でる。昨日会ったばかりでその時にいっぱい話したのに話したいことが新たにたくさん出来てしまっているし、昨日会ったばかりなのに既にとても恋しくて。人目につかないところはないのだろうか、と見回したけれど入れそうな部屋も、誰にも見つからなそうな死角もなくてちょっと残念に感じていたら「ここだと何もできないね」そう意地悪く笑った。
『何もするつもりなかったけど』
「あ、ほんと？俺はキスくらいしたかった」
たまたま人がいない時間帯でよかった。こんなことを誰かに聞かれていたら、裏アカでも作られ暴露されてしまう。
「鍵、使っていいってこと？」
トイレと言ってきてしまった手前、長居もできなくてスタジオに戻ろうとしたら、さっきより小さな声でジェノが聞いてきたから、自分でしたことなのに恥ずかしくなってしまって、私も小さく返事をすると、それにつられたのか「やった」更に声のトーンを落としてジェノは喜んだ。
『何か、今日は頑張れそう』
「俺に会ったから？」
『うん』
こんなことしたら駄目なのになあってジェノの泣きぼくろに触れると「やっぱりキスしたいんじゃん」って。私はキスをしたくなったら泣きぼくろに触ると、ある日の朝にジェノが教えてくれた。無自覚だったから否定したけれどそれは本当のことみたいだ。「する？」『しない』「しないの？」『しないよ』そんなやり取りをしたのに結局してしまう私たちは、ファンがいる者として失格なのかもしれない。
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Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
