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マネージャーが来るまであと10分、お泊まりしたことがバレたらどうなるか分からないからジェノとは鉢合わせをしないようにしなければならない。頭では分かってるんだけれど、靴を履いて今度こそ帰ろうとしているジェノを引き留めた。「……？」瞬きをしたジェノは怒ってはなさそうだけれど、そう見せてくれているのかもしれない。「A、時間が……」『か、かっこいい、とこ』靴箱の上の時計を確認したジェノは少し焦っているけれど、私は言葉を重ねていく。思い浮かんだことはたくさんあるんだけれど、結局どれもジェノだから好きになったんだろうって結論に繋がったものを、できるだけたくさん言葉にしようと。
『優しくて、ちょっと嫉妬深くて』
「それから？」
『目が好き、鋭いんだけど温かいから。私の話を聞いてくれたり、信じられないくらいきつく私を抱き締めるところも』
「それで？」
『ジェノは慌ててる私を見るの好きでしょ？』
「うん」
『その時の顔が好きで……変な意味じゃなくて』
「ふーん？」
『あと意外といい性格してるよね。それも、嫌いじゃないよ』
「それを伝えたくて引き留めたの？」
『…さっきの答えは適当じゃないよって言いたくて』
時間がないのに朝から何をしてるんだ。ジェノは「悔しかったんだ」と答え、背を向けたまま話してきた。
「俺も本当は理由なんかなかったよ。ただ直感で好きだって思ったんだけど、それだと淡白すぎるかなって一生懸命絞り出したんだ。なのに俺の言えなかった本当の理由を簡単に言うから、自分が情けなくて。でも、同じだと思ったら嬉しくて、こんな顔見せられないから早く帰ろうとした」
『…見せてよ』
「すごくだらしない顔してると思うけど笑わないでね」
その言葉と共にこっちを見たジェノはこれでもかというくらい緩みきった顔をしていた。
「Aもすごい顔してた」
『そう？』
「俺のこと大好きだって顔」
『大好きだもん』
「……もう完敗」
会えない時間が多いからこそ、会ったとき好きな気持ちが大きくなるのなら会えないのも悪くないのかもしれない。「忘れ物あったら取りに来るから連絡してね」それに頷きジェノを見送った数分後、洗面所には私のものではない腕時計が置かれているのを見つけた。写真を撮って送れば《早く取りに行かなきゃね》と、初めから仕組んでたんだろうなって返事が来て、こんな単純な手口にときめいてしまう自分を馬鹿だと思うのに、そんな自分が嫌いじゃないなんてどうかしてる。
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Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
