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目が覚めると隣にいたはずのジェノは既にいなくて、ベッドはほんのり温かさを残しているから起きたばかりかもしれないと寝室を出ると、ちょうど靴を履いているところだった。
驚かせようとできるだけ足音を立てずに近付いたつもりだったんだけれど、気配を感じ取ったのかジェノは振り向き「おはよ」と私の顔を両手で包み込んだ。
『びっくりさせたかったのに』
「騙されてあげようかなって思ったけど、失敗したAの拗ねる顔が見たくて」
『騙されてくれたら喜んでる顔が見れたのに』
「それはいつも見てるもん。俺といるときのA、ずっと嬉しそうだし」
当たってるのが恥ずかしくてジェノの肩に頭をぐりぐり押し付けると、帰りたくなくなるじゃん、と昨日みたいに私を抱えたジェノは、これまた昨日のように靴を脱ぎ、2人で寝室に戻り出たばかりのベッドに2人で潜り込む。
『みんな起きちゃうんじゃない？』
「帰って誰か起きてたら、その時考える」
『…私は5時にマネージャーが迎えに来るの』
「あと30分だ」
『でも、準備なんて10分あれば出来るし』
24時間の中で1番可愛くないはずの寝起きの顔を、ジェノは何度も可愛いと褒めてくれた。そう思いたいから自分に言い聞かせてるって可能性もあるけれど、額やまぶたに落ちてくる熱は、どれも熱くて甘かった。付き合ったばかりの頃が1番愛されているし幸せを感じると、共演した先輩女優は言っていたのを思い出し、これも今だけなのかなあなんて腕の中で考える。少し早い心臓の音、背中でとんとん刻んでいる優しい手のひらのリズム、私をまっすぐ見つめる瞳、溶けてしまいそうなくらい甘ったるい声。全部ずっと、このままならいいのに。
「Aは俺のどこを好きになったの？」
『ん？』
「教えたのが俺だけって不公平じゃない？」
『……教えてくれたっけ』
「とぼけてもだめ、話して？」
もうすぐ時間が来てしまうというときに、それまで黙っていたジェノがそんなことを呟き、しらばっくれようとしたけれどそれは許されず、ジェノは「話してくれるまで離さないよ」と私の足に自分の足を絡ませた。
『どこがとかじゃなくて、ただジェノを好きになったの』
「…………」
『私も聞いといてあれだけど、好きになった理由って必要かな』
考えたけどしっくり来る理由がなくてそう告げるとジェノは無言になってしまった。やっぱ納得できないよなあって顔を見ようとしたら、ジェノは私の目を隠し、あっさり寝室を出ていった。
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Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
