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少し前を歩いている背中が目に入り、私は耳に挿していたイヤホンを引き抜く。風が吹いたら私が付けてきたものと同じ香りがして胸が苦しくなった。3日なんていつもは目まぐるしいまま、ばたばたとあっという間に過ぎてしまうのに、やたら長く感じたのは私がこの日を待ち望んでいたからなのだろうか。
「…！」
『…………』
「……びっくりしたじゃん」
周りに誰もいないことを確認して後ろからジェノのお腹に腕を回すと、ジェノも音楽を聞いていたらしく全く気付いていなかったようで肩を大きく跳ねさせた。
「外だよ、離れないと」
『………』
「……あ〜もう、何、そんなにわがまま？」
『ジェノにだけね』
「……俺も」
『？』
「俺もする」
ジェノがしていたイヤホンからしゃかしゃか聞こえて、抱き締められていることに気付く。あまりにも一瞬の出来事過ぎて頭が追い付いていないけれど、目の前にジェノがいることが嬉しくてどうでもよくなった。
「付き合ってから会うの初めてだね？」
『だからちょっと恥ずかしいよ』
「ちょっと？」
『……本当はすっごく恥ずかしい』
「うん、俺も」
ジェノの顔を見たいのに見れなくて、手は繋いでいるけれど、ジェノのいない方を向いて歩いていたら「寂しいからこっち見てよ」と繋いでいる手を数回引っ張られる。数分経ってから覚悟を決めてジェノの方に顔を向けると、今度はジェノがさっきの私みたいにそっぽを向いていて寂しくなった。『ジェノ』「……」『ねえ』「なーに」『ねえってば』肩が震えているからきっと笑っているんだろう。からかわれることも、馬鹿にされることも嫌いなのに、どうしてこんなに幸せだと感じているんだろうか。
『どうして私を好きになったの？』
昼間思ったことをそっぽを向いたままのジェノにぶつけてみたら、ゆっくり私を見て「可愛いから」と言った。
『顔が？』
「顔は綺麗……って、そうじゃなくて、俺に会いに来たって言うのが素直に言えないから言い訳を考えてるんだろうなっていうのが伝わってきて、それが可愛かったんだ。この子の可愛い部分は俺だけが知りたいなって、それで」
『……………』
「意外とすぐ照れるところも可愛いし、結構おしゃべりなとこも可愛い、1番は俺を好きなところ」
『分かった、分かったから』
「もう？まだ伝え足りないけど」
もういいってば、頬を押そうとした私の手を取り、その指先にキスをしたのは、憂鬱で仕方なかった午前3時を1番好きな時間に変えた人。
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Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
