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《歌謡祭のこと聞いた？》『……うん』鼓膜に優しく響くのはミウちゃんの声ではなくて少し掠れた低い声。向こうはメンバーといるのか、遠くの方からキャキャッと特徴的な笑い声が聞こえてきた。
『昨日すれ違った小学生みたい』《何が？》『笑い声』《うるさい？》『ううん。楽しそうでいいなって思っただけ』
関係者以外立入禁止と書かれたドアを開け、鍵をしっかり掛け座り込む。いつもは運搬移動に使われている通路なんだけど、運のいいことに今日は使用していなかった。
《Aが司会するんだね》
『そうみたい。噛んでも笑わないでね』
《可愛かったら笑っちゃうかも》
『……じゃあずっと笑ってなきゃじゃない？』
《うん、だから今も笑ってる》
『………………』
《へへ、》
ジェノは私より何枚もうわてだ。何言ってるのと呆れて欲しかったのに私の自意識過剰な発言が受け入れられて恥ずかしくなった。《なんだか恥ずかしいや》それはこっちの台詞だ。ジェノと関わると、自分も知らなかった自分がどんどん出てきてしまうような感じがして、演技をしているときとは別の意味で自分を見失いそうになってしまう。
《……もう行かなきゃ》
『頑張ってね』
《早く会いたいね》
『…………ん』
《今、顔真っ赤でしょ？》
『知らない！早く行きなよ！』
《うん、じゃあ行ってきます》
私もって言うべきだったかな、と通話終了を知らせる無機質な音を聞きながらため息をついた。可愛い女の子はきっとそうするんだろうなあ、今度、最近話題になっている男心を掴む方法がまとめてある雑誌でも買ってみようか。
……今後そういう子を演じることになったら役立つかもしれないし。気持ちを入れ替えてから楽屋に戻るとマネージャーはソファで熟睡していた。いいなあ、私も寝たいのに。実のところを言うと、最近よく眠れていないのだ。一時この症状は改善されたのだけれど、ドラマ撮影が続くとストレスが溜まるのか、常に眠りが浅い状態で、少しの物音でも目が覚めそれ以上は眠れなくなってしまう。
「クマひどいけど最近寝れてる？」とメイクオンニに心配されるくらいなのに、このマネージャーは全くそれについて言及してこない。会社からしたら、商売道具である私たちは働いてなんぼだし、そうだと分かってはいるけれど、商売道具だからこそ気に掛けるべきだろう、と大口を開けていびきをかいているマネージャーの口に、差し入れのバウムクーヘンを突っ込んであげた。
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Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
