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買って行ったひとくちサイズのサンドイッチはスタッフから大好評だった。私が褒められているのを悔しげに睨んでいたあのアイドルの子は、誰からも相手にされることなく、コンテンツ用のビハインドも途中で撮るのをやめていたようだった。……そもそもドラマの撮影現場にその現場以外のビハインドのカメラを無断で回すのはどうかしてる。今後この子の話は業界内で広まり(もちろん悪い意味で)ドラマどころかバラエティの番組にさえ呼んで貰えなくなるのではないかなんて少しだけ可哀想に思った。
家に着いたのはこの間と変わらない時間で、お風呂に入って寝る支度を整えたのに午前3時というワードが頭から出ていってくれず、眠気は全くやって来なかった。目を閉じればいいのにちょくちょく時間を確認してしまうのは、何時間後かにやってくる撮影がまたあんな風になったらたらどうしようと気掛かりなだけであって、本当に3時にあそこに来るつもりなのか気になっているとかそういうのではなくて。
ただちょっと喉が渇いて、普段飲まない炭酸が飲みたくなったんだ。それが家に無かったからしょうがなくコンビニに行くだけで無理矢理こじつけられた約束を守りに行くんじゃない。
「あ、よかった。今帰ろうと思ってたんだ」
『…炭酸飲みたくて来ただけ』
「……顔赤いけど風邪でも引いてる？」
コンビニの外で自転車に跨がっているのがイジェノだとすぐに気付いた。ペダルを踏み込もうとしたのを見て、ちょっとだけ走ったなんて言えやしない。堀の深い横顔は月明かりに照らされて彫刻のようだった。 「ここで待ってるね」3時15分、イジェノは何時までいるつもりだったのか聞くつもりはない。随分勝手な人なんだなって、ただそれだけ。
「おかえり……は違うか、お疲れさま」
ペットボトルを開けようとしない私を見て開けられないと勘違いをしたのか、私からそれを取り上げ「開けてあげる」とキャップを回した。
「撮影どうだった？」
適当に選んだ炭酸は喉にはりつくような甘さがあってやっぱり苦手だと思った。私がフォローをしてあげる義理は無かったから、あの子に特に声を掛けないまま撮影が終わったのだけれど、スタジオを出るときに見たあの子の泣きそうな顔が頭から離れてくれなくて、果たしてこれでよかったのだろうか、と少し胸に引っ掛かっていた。
「時間平気なら散歩でもしない？」
答えに詰まった私を気にしてか、イジェノは荷台を叩き座るように促した。
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Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
