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「どこで撮影してるの？」
『どこでもいいでしょ』
「俺は第5スタジオで事前収録してる」
……やはり私が記憶していたイジェノとは違う人物としか思えない。誰にでもニコニコする人ではなかったし、自分から誰かに話し掛けに行くタイプでもなかった。……一体何が目的なのだろうか、とりあえず、これ以上関わらないことが1番だとカフェオレを押し付けると驚いたのかつぶらな瞳を開き「くれるの？」と首を傾げた。さすがアイドルと言うべきか、その姿も様になっていて腹立たしい。イジェノが“こんな感じ”になったのは、アイドルという職業が原因なのかもしれない。役者やモデルだったらきっと、昔みたいに、氷のように冷たく張り付いた笑みを浮かべるような大人になっていただろう。
「自分のは？」
『気分じゃなくなったからいい』
「…でも」
『早く戻れば？あそこでおどおどしてるのマネージャーでしょ？』
マネージャーには私たちが忙しい仕事の合間を縫って逢瀬をしている恋人にでも見えているのだろうか。数メートル離れたところで誰かに見られていないかの確認のためなのか、右に左に忙しなく目を動かしている姿はとても滑稽だ。テレビ局の中だから記者にすっぱぬかれることはないと思うけれど、おそろしく口が軽いスタッフだっているし、どんな誤情報が回るか分からないから警戒するのは正解。むしろよく出来たマネージャーだ。
「午前3時」
『え？』
「あそこで待ってる。10分しても来なかったら帰るから気が向いたら来て欲しい」
『…絶対行かない』
「……お世辞にも態度はいいと言えないし、仲がよかった訳でも特に思い出がある訳でもないのに、どうしてかAさんのことが気になるんだ」
『……は？』
「もっと話したいしもっと知りたい。理由はそのうちに分かるような気がするから、分からせて欲しい」
『イジェノ、何言って……』
「ジェノだよ。イジェノじゃなくてジェノ。じゃあまた後でね」
大きな手が頭に置かれて唖然としていたら、イジェノはマネージャーに小突かれていた。痛くも痒くもないような表情で数回頷いたイジェノは、首を横に振って違いますよ、と口を動かす。手に持っていたカフェオレを没収されると肩を落とし、マネージャーが歩き出すと数歩後ろを着いて行く。私はなぜかその後ろ姿から目を離せずに、いくらたっても戻らない私を心配に思ったのか、ドラマスタッフが探しに来るまでずっとその場に突っ立っていた。
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Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
