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収録が終わったのは日付が変わってからだった。笑顔を絶やさず番組を回していた司会者は真顔になりスタジオから出て行った。慌ててプロデューサーが追い掛けて行くのを見て、あの人は裏表が激しいことで有名だから毎回大変そうだ、なんて、先輩たちを見送りながら自分の番が来るのを席で待つ。早く帰って寝たいのに、あくびを噛み殺していたら「お久しぶりです」と、上から声が降ってきた。
『…イジェノ』
「よかった、覚えててくれてた」
『一応ね』
ちゃんとした会話はこれが初めてだった。あの頃はマネージャーの傍から離れようとしなかった私たちだけれど、お互い大人になったのか、それとも芸能界で生きていく術を身に付けたのか、不思議と会話は続いていく。
「出演者一覧で名前を見つけたときちょっとわくわくした」
『どうして？』
「テレビでAさんを見ることはあるけど実際に会うのは10年振りとかだから、どんな子になってるんだろうって」
『こんな子だよ』
「疲れてる？」
『かなり。だから放っておいてもらいたいんだけど』
ファン対応がよくてスタッフからも評判で、悪い噂は1つも聞かないとSNSに書かれたりしている私だけれど、それは完全に自分を作り上げているから当たり前な訳で。いつか誰かが“本当の私”を暴露したとしても、囲いが完璧であればそれは消えるし、ただの僻みだと受け取られてなかったことにされる。芸能界ってそんなものだ。イジェノは子役の頃から私を見ているから、何か感付いているかもしれないし隠す必要はないだろう。『どっか行って』と大きくため息をつく。マネージャーはこの後の予定を確認していて私の現状に気付いていない。中々立ち去らないイジェノにイラつき、小さく舌打ちをして視線をずらすと、彼のメンバーである1人と目が合った。
ふわふわとした茶髪に垂れ目がちの三白眼、確か、彼も同い年なんだっけ。
「びっくりしてる」
『何が？』
「ヘチャン。俺が話し掛けるとは思ってなかったんじゃない？」
『ふーん、話し掛けてくれなくてよかったけど』
「まあ、元気そうでよかった。お互い頑張ろうね」
メンタルが安定しているのか、私のチクチク言葉にも動じなかったイジェノは「お疲れ様でした」と自分の席に戻って行った。……最後の最後でどっと疲れたな。やっと自分の番になり出口に向かう。イジェノのグループの横を通り過ぎる時イジェノに名前を呼ばれたけれど、振り向くことはせず、大きく伸びをした。
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Kiki(プロフ) - なつみさん» あんまり女優設定って見ないなと思って書いた作品なので、そう言って頂けて嬉しいです🥺ヒロインちゃんの変化にも注目して頂けたらと思います〜🥺 (3月16日 12時) (
レス) @page26 id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ(プロフ) - 他では見かけない設定なので、毎回楽しく読んでます！クールなヒロインが…！？って展開になってきてわくわくしてます🥺 (3月14日 12時) (レス) @page23 id: 7227221f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kiki
| 作成日時：2023年12月7日 18時
