・ ページ14
シャワーを浴びて髪を乾かそうとしていたら、《来客がある》と部屋に設置されている電話にフロントから連絡があった。疑問に思う箇所はあったけど、ここにいることを伝えているのはおばあちゃんしかいない。日付も跨ぎそうなこの時間にいつまでもロビーにいさせる訳にはいかないと、通してくださいって2つ返事をして、アメニティの1つの普段飲まないような、聞き馴染みのない名前の紅茶のティーパックを入れていたらチャイムが鳴る。お母さんと何かあったのかな、私のことでひどいことを言われていたらどうしようと、力任せにドアを引くと、そこにいたのはおばあちゃんじゃなかった。
『……は』
「ドアスコープちゃんと確認しないとダメじゃん」
『どうして』
「いいから、早くいれて」
だからフロントの人に誰か聞いても《来客です》としか教えてくれなかったんだ。聞かれたら騒ぎになってきっととんでもないことになってしまうから。そこそこ高級なホテルだし、芸能人が来るというのはよくあることなのかもしれない。
ため息を付きながら足を踏み入れたのは、さきほど別れたジョンウだった。
「ホテルはマクに聞いた」
『そっ………か』
「どうして電話出てくれないの？」
『お風呂はいってたから』
「電話したの2時間も前だよ？髪濡れてるし、今上がったんでしょ。そんなに長風呂なの？まあいいや拭いてあげる」
勝手に脱衣所に入って新しいタオルを持ってきたジョンウは、私を座らせその後ろに立ち髪を包み込んでいく。丁寧に髪が傷まない拭き方をしていくジョンウにまた胸が痛くなった。ケア用のトリートメントちょうだい、って顔を覗き込まれたとき、心の中にある黒さが最上級の濃さになる。そんなの持ってないよ、《女の子》なら使ってるって思い込まないでほしい。
『なんで来たの？』
「Aとおしゃべりしたかった、それに明日の約束だってしてないし」
質問に質問で返す全くキャッチボールになっていない会話だけどジョンウは気にすることなく答えてきた。髪の毛伸びたねって言ったけれど当たり前だ。会わなくなってから何年経ったと思っているんだろう。
『……もっとアイドルだっていう自覚持った方がいいんじゃないの』
ドライヤーのコードをコンセントに差し込み、上手く乾かせるかなあと楽しそうにしていたジョンウは、私のその一言で固まってしまう。私にはもう、NCTのジョンウにしか見えなくなってしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1216人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Kiki(プロフ) - ジュン三原さん» ありがとうございます！番外編考えてみます〜(^〇^)想像しただけで楽しそうなのでたぶん書きます！！！そのときはぜひお読みいただけたら嬉しいです(>_<) (2022年9月28日 18時) (
レス) id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
Kiki(プロフ) - ありすさん» ありすさ〜ん！いつもありがとうございます(^〇^)推しのンウちゃんですが楽しんでいただけたようでよかったです(;o;)これからもお願いします(>_<) (2022年9月28日 18時) (レス) id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
ジュン三原(プロフ) - Kikiさん、完結おめでとうございます!告白のシーンとかジョンウ言いそう言いそうって思いながら読みました。番外編でメンバーに付き合った報告したお話とか読めたら嬉しいです♡無理にとは言いませんが(汗) (2022年9月27日 18時) (レス) id: e151fe0a99 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - Kikiさん完結おめでとうございます〜！！！！今回も素晴らしいお話をありがとうございました！！！！これからも何回も読み返します( ；∀；) (2022年9月27日 12時) (レス) @page44 id: e88d06d936 (このIDを非表示/違反報告)
Kiki(プロフ) - アラムさん» ドンピシャですか！？めげずに完結できてよかったです(;o;)こちらこそお読みいただいてありがとうございました(^〇^) (2022年9月25日 18時) (レス) id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kiki
| 作成日時：2021年8月8日 13時
