10 ページ33
ジェミンくんとキスをしたあの日以降、私のほうが帰りが遅いと分かるとジェミンくんが駅まで迎えに来てくれて、手を繋いで帰るのが当たり前になった。
「何かあったら危ないから」最初はそう言っていたけれど、2日、3日、そんな日が続いていたらある日無言で手が差し出されて、ジェミンくんと交互に見ていたら「もう忘れちゃったの？」と指を絡めてきた。忘れた訳じゃなくて、その手を取っていいか悩んでいただけなのに。予測外のことで驚いたれど、私もほんの少し力を入れて返したら嬉しそうなジェミンくんがいた。
「お疲れ」
『お疲れさま、ありがとう』
「何か買って帰ろっか」
手を繋がないことに違和感を覚えてしまって、ジェミンくんがしてくれなければ私が自分から頼むこともあるし「繋ぎたい？」って聞かれたら頷くようになった。斜め上から注がれる視線を意識しないようにすればするほど顔は暑くなっていって、それを誤魔化すために中身のない話をする私に「かわいい」と言う。
「ほぼ毎日残業してますけどAさん予定ないんですか〜？」正面のデスクに座っている今どき女子に鼻で笑われたことなんてどうでもよくなってしまった。特別な予定はないけれど、どんな予定よりも大事な時間があるって言い返したらよかったかな。
『あのね』
「…」
『予定より残業早く終わったの』
「そうなんだ」
『残業しないように仕事しろって話なんだけど…』
「頑張ったんだね」
ジェミンくんがこうして褒めてくれるから最近は頑張れてるんだよ。苦手だった電話対応や上司の機嫌の取り方も前よりうまくなったし、他の人に頼んだり、辛いときは助けてほしいとサインを出せるようにもなったのも、きっと全部ジェミンくんのおかげで。意訳になるけど、甘えるのは悪いことじゃないって教えてくれたから。
『……早く帰りたくて』
「分かる、仕事は好きだけど終わったら帰りたい」
『違う、そうじゃなくて、その……かったから…』
「モゴモゴしてちゃ分かんないよ〜、なあに？」
『会いたくて』
「ん？」
『…ジェミンくんに早く会いたかったの。最近毎日仕事しててもジェミンくんのことばっか考えてる』
「……ほんと？」
今までココちゃんに引っ張られていたのにそれが逆になって、2人とも小走気味で。通る過ぎる人に不審な目で見られたけれど全然気にならなかった。
「何もしないからお家着いたら抱き締めてもいい？」
答えはもうそこまで来ている、あとは私次第だ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1212人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うー(プロフ) - kikiさん（ ; ; ）ヒロインお疲れさまでした！！！ずっと最高だったんですけど、最後も理想の展開すぎてきゅんきゅんが止まりません（ ; ; ）これから番外編も期待してしまいます…(笑)終わってしまって寂しい感じもしますが、これからも素敵なお話し待ってます！ (2022年12月12日 8時) (
レス) @page44 id: 938e109c39 (このIDを非表示/違反報告)
Kiki(プロフ) - hkrさん» 他の作品も読んでくださりありがとうございます(;_;)ジェミンくんはきっと好きな子に甘いんだろうなって想像で書いてるので最高だなんて嬉しいです(;_;)これからもお願いします〜！ (2022年12月11日 16時) (レス) id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
hkr(プロフ) - kikiさんいつも更新ありがとうございます( T_T)！ 他の作品も大好きなんですけど、今作がもう大大大好きで…♡ ジェミンさん最高すぎます😭 これからも応援してます🤍 (2022年12月10日 1時) (レス) id: fcc5d5eeb6 (このIDを非表示/違反報告)
Kiki(プロフ) - ありすさん» いつもありがとうございます(;_;)自分でもどうなるか分からないのですが楽しんで頂けるように頑張ります！ (2021年8月9日 9時) (レス) id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
Kiki(プロフ) - うーさん» ありがとうございます！今度からはこのお話中心に更新するつもりなので、お時間あるときにお読みください(^^) (2021年8月9日 8時) (レス) id: 8611e65663 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：kiki
| 作成日時：2021年6月14日 21時
