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『え、面白い。他にもっとそういうのないの？』
「他？えーと、確か……あヤバい、先生来た。またな」
そう言ってバタバタとそいつは席へ戻って行く。そしてその数秒後に、黒い猫を連れた四十代前半ほどの男性が入ってきた。
こつこつと靴の音だけが響いて、辺りが異様に静まる。俺たちをぐるりと見渡して、男性は口を開いた。
「私は魔法史を担当するトレインだ。こちらは使い魔のルチウス」
トレイン先生がルチウスを指差すと、ただ一声「オ"ァー」と鳴いた。随分と可愛らしい猫だ。
ルチウスの頭を一度撫で、トレイン先生は再び口を開く。
「君たちにはこの世界に繁栄をもたらしてきた魔法についての歴史を学んでもらう。私はレポートだけでなく授業態度も評価する。居眠りは許さない」
教室のどこかから小さなため息が聞こえた。トレイン先生はその音にぴくりと眉を動かしたが、特に言及することもなかった。
俺の意識はと言えば。耳はトレイン先生の話をしっかり聞いていたが、目線はルチウスへと移っていた。はぁ、可愛い。
しばらくするとトレイン先生から教科書のページが指定される。そこにはドワーフ鉱山で見つかった魔法石がうんたらかんたらと書いてあった。
一瞬にして教科書を閉じたくなったが、なんとか耐える。やっぱり魔法史、苦手かも。
「この世紀の発見により……」
思わず出そうになった欠伸を必死で殺し、耳に意識を集中させる。トレイン先生の声と、生徒が教科書を捲る音。それからノートにペンを走らせる音。
頬杖をつきながらふと隣を見れば、クルーウェルがペンを走らせトレイン先生の話す内容をメモしていた。ノートを見るため落とされた目に、睫毛の影がかかる。
まるで一枚の絵画のような美しさに、これで性格さえあんなのじゃなければなぁと心の底からため息が漏れた。
「……私の授業は退屈かな、ルイス」
『えっ。っ、違います。……すみません』
かなり大きなため息だったらしい。トレイン先生の目が、真っ直ぐに俺を見ていた。
慌てて頭を下げれば、それ以上の注意がされることはなく。俺は続きを読むように指示された。
「……ふっ」
立ち上がって読もうとした瞬間に、俺の耳は隣からのそんな笑い声を拾う。ちらりと横目で見れば、クルーウェルがにやりと笑いながら「バーカ」と口パクするのが分かった。
……いつか絶対ぶっ殺す。そう決意して、俺は口を開いた。
水と油な二人ー完ー。
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あいらいん - 学生のクルーウェル先生に「ばーか」って言われたい (2023年4月4日 10時) (
レス) @page14 id: c168593882 (このIDを非表示/違反報告)
アロン(プロフ) - すごく面白いです！クルーウェル先生と夢主が仲良くなったのは、一緒にめっちゃ強い魔物を倒したから…って、1の方のラジオで見たから、それめっちゃ楽しみです！更新待ってます！頑張ってください！ (2022年2月15日 13時) (レス) @page14 id: 568bb71bb9 (このIDを非表示/違反報告)
HUMIZUKI・文月(プロフ) - すごく面白かったです！リクエストですが、生徒が授業中ふざけて危険な魔法薬をこぼしてしまい夢主がすごく怒る話をお願いします。 (2021年12月27日 8時) (レス) id: 4b3187b3d3 (このIDを非表示/違反報告)
チーズ鍋 - 白猫さんさん» 仲良くなってからと仲良くなる前どっちが良いですかね？コメントありがとうございます！ (2021年11月6日 20時) (レス) id: 067328da22 (このIDを非表示/違反報告)
白猫さん(プロフ) - レイスくんが間違えて、クルーウェル先生の私物を燃やしてしまい喧嘩をして欲しいです。 更新楽しみにしています！！ (2021年10月17日 10時) (レス) id: d1d66ac9b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：チーズ鍋 | 作成日時：2021年9月23日 22時
