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一度も話せないまま迎えた卒業の日だったけど、結局僕の元に現れたのは最大の敵だけだった。

「……分かるでしょ、古賀先輩なら」
「何がだよ」
「僕がA先輩と話せなくなった理由。A先輩から聞きませんでしたか?何があったのかって。あぁ、そりゃ聞いてませんよね。貴方には別の彼女がいるんですもんね」
「おい、中野」
「A先輩、ずっと古賀先輩の事が好きだったんですよ、気づいてましたか?どうして気づいてあげられなかったんですか、彼女はあんなに古賀先輩のことが、」
「中野!」

古賀先輩の人一倍大きな声が響く。どうするんだよ、周りの人達がざわつき始めちゃっただろ。

「さっきの、Aが俺のこと好きって話は……前の話だよ。泣かせたことは申し訳ないと思ってるよ、そりゃな。何度も告白してきてくれてその度に断っちゃったしな」
「だったら……」

「でも……あいつはあいつなりに、次の恋に進もうとしてるみたいなんだよ。俺はAを悲しませた……罪滅ぼしって言うのは変だけど、まあ、その手助けをしてんの。これも、その一過程」

どういうことですか、と言う僕に、古賀先輩は真剣な顔で向き合った。


気がつけば僕は廊下を駆けていた。
A先輩がいる場所は古賀先輩に教えてもらったが、もう移動してしまったかもしれないと言われた。さっき中庭を見た時、どうして気がつかなかったのだろう。

もし、もしも、古賀先輩の言うことが本当だとしたら───。

様々な可能性が頭を駆け巡る中、僕の視界に見覚えのある後ろ姿が目に入った。
放送室で幾度と見た後ろ姿。

「……っA先輩!」

A先輩が振り返る。
彼と同じように、胸元には鮮やかに花が咲いていた。

太陽の光に照らされた彼女の微笑みは、まるで天使のようだった。

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春湊(プロフ) - まぽさん» お久しぶりです!早速読んでくださりありがとうございます🙇‍♀️🙇‍♀️ (3月3日 15時) (レス) id: 1a4158699c (このIDを非表示/違反報告)
まぽ(プロフ) - お久しぶりです。夜分にコメント失礼します。出井さんの新作読めて嬉しいです☺️素敵なお話ありがとうございます! (3月3日 1時) (レス) @page6 id: 3194fe305d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:春湊 | 作成日時:2024年2月9日 0時

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