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「Aは残るんやもんな」
「せやで」
「なんか寂しくなるな、A達が隣におらんって」
「明日大阪で出番あるくせに」
「はは、バレてたか」
さや香の東京進出発表の裏で、私たちはこの大阪に残ることを決意した。もっとこの地を大切にしていきたいと思ったから。これからのマンゲキは俺らに任せろと、相方の花満は胸を張って言っていた。
こういうことを思ってはいけないと思うのだが、いい機会にはなったと思う。これで新山への恋心を断ち切れるのなら、それはそれで。
「……A、ありがとな」
「なに？急にしんみりムード？」
「あー、そうかも」
「嫌やそんな新山見たくない。解釈違い」
「なんやそれ」
突然のしんみり新山に少しの嫌悪感を抱える私をよそに、ほんま今までありがとな、と新山は口を開き始めた。
「お前らスロードリップがいたおかげで俺らも自信持ってネタできたし、M1の決勝に2組で行けたりしたしさ。ほんまに大切な同期だよ、いつもありがとな」
「それはこっちの台詞。私たちだってさや香おらんかったらここまで頑張れてなかったから。ほんとうに、感謝してる」
感謝の言葉は口を開けばいくつも出てくるくせに、愛などというものを表現する言葉だけは出てこない。
「あぁ、そういえばお前、彼氏とかできたん？そういう話全然聞かんけど」
「お笑いに夢中でそういうのは全然よ。新山と同じくらいの時に、いい人見つけて結婚できてれば良かったんやけど」
「そか、Aらしいな」
嘘。
本当は新山を忘れられなくて、誰かから告白されても断ってきているだけ。
私は彼の前だと、息をするように嘘がつけてしまうらしい。
ねぇ、新山。
私、あなたのせいで幸せになれないんだよ。
「……あったんかなぁ」
「なにが」
「俺らが結婚する世界線とかさ」
「お前、それは今の奥さんに配慮足りてへん発言やぞ」
「いや冗談やって、もしもの話だし。……でも、絶対Aいい奥さんなると思うねん。Aみたいな人と結婚できるとか、そいつは幸せもんやろうな」
そんなこと言うくらいなら、私のこと奪ってよ。
新山は私の幸せを願ってくれるのかもしれないけど、私は新山じゃなきゃだめだったんだよ……。
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春湊(プロフ) - まぽさん» お久しぶりです！早速読んでくださりありがとうございます🙇♀️🙇♀️ (3月3日 15時) (
レス) id: 1a4158699c (このIDを非表示/違反報告)
まぽ(プロフ) - お久しぶりです。夜分にコメント失礼します。出井さんの新作読めて嬉しいです☺️素敵なお話ありがとうございます！ (3月3日 1時) (レス) @page6 id: 3194fe305d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春湊 | 作成日時：2024年2月9日 0時
