ギャグなのかシリアスなのかはっきりしろ ページ26
「あのさ、フルネームって…あとどういう知り合い？」
「あぁ、近くの図書館の司書さんです。たまにこの学校の図書館にもいますよ。フルネームは『エーミール』です」
「エミさんはなんでも知ってるんですよ！女性のことはなにも知らないですけど！」
「ふふ、一言余計ですよチーノさん」
くすくす、と笑うエーミールさん。
その姿に、背中に虫酸が走るような感覚がする。
なんだろう、なにが嫌なんだろうか。
頭の片隅で考えながら、会話に混ざる。
違和感なく混ざれているだろうか。
ちょっとの不安も残るが、笑顔を張り付け四人で話す。
何気無く、エーミールさんと目が合う。
透けるような目は、しっかりと私を捕らえている。
その表情は、確かに笑顔だったが、どこか冷徹で、僅かな恐怖と大きな嫌悪感を生んだ。
そのときに気づく。いや、本能が気づいた、とでも言ったほうが正しいのかもしれない。
私もエーミールさんのことが嫌いだけど、エーミールも、私のことが嫌いなんだろうな。
嫌っている理由までは分からないけど。
『次は、二年生、選抜リレーです』
ロボロ君の通る声がスピーカー越しに聞こえる。
…なにか、忘れている気がする。
なんだっけなぁ…選抜…センバツ…
「あっ！そうだよキヨくんが選抜出るんだった！」
「え、キヨ先輩も出るんですか？」
「うん、補欠だって」
「へえ、あの人足速かったんですね」
「らしい」
「あ、そういえばコネシマさんもゾムさんもシャオロンさんも鬱さんも出てましたよね」
「えっ鬱先生も出るんですか？…あの人こそ足速かったんですね」
シッマ先輩、ゾムくん、シャオちゃんくんはまだ分かる。むしろ選ばれないのがおかしい。
でもあの女好きも速かったのか…意外だ。
「あっ、いたいた水鏡さん！」
後ろから特徴的な鼻声。
振り向くと、汗を滲ませたレトくん。
どうしたんだ。なぜそんなに疲れているんだ。
「キヨくんが怒ってたよ。『なんだあいつ！全然応援しにきてくんねぇじゃん！』って」
「マジかよあいつそんなこと言うの？」
「いや言ってないんだけど」
「さらっと嘘言うのやめてくんない？」
すらりと流れるように嘘を吐いてくるなこいつ。
もう慣れてるなこの手口。
「…まあ優しい私は言われなくても応援しに行ってあげましょうかね」
「一言余計」
「うるさい。じゃ、またお話しましょうね」
「ええ、また」
会釈をして、急いで席に戻る。
社交辞令を言ったが、出来れば二度と会いたくない。
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お空の蒼い月(プロフ) - おしずさん» コメントありがとうございます！無我夢中になるほど読んでいただけたのですか！？冥利に尽きます…！ありがとうございます！！ (2020年11月4日 17時) (
レス) id: 94a6e4722e (このIDを非表示/違反報告)
おしず(プロフ) - 気になって読み始めたら、無我夢中で読んでました……控えめに言って天才です好き……。すごく面白くて読む度ワクワクしております！夢主ちゃんの顔面偏差値がわかるところも好きです…イージーモードかよ…。本当に好きです！応援しております！お体に気をつけて！ (2020年11月4日 10時) (レス) id: f2c187ecfd (このIDを非表示/違反報告)
お空の蒼い月(プロフ) - 暇人な名無しさん» コメントありがとうございます！ふふふ、emさんの絡みはこれから掘り下げていきます…！嫌っている理由もそのうち明らかにしていきます。お楽しみにです！ (2020年11月1日 13時) (レス) id: 94a6e4722e (このIDを非表示/違反報告)
暇人な名無し(プロフ) - えっ唐突に嫌ってる！？低姿勢な所が嫌なんかな...？ (2020年11月1日 13時) (レス) id: d7b6c8461a (このIDを非表示/違反報告)
お空の蒼い月(プロフ) - 寒凪レモンさん» ご指摘ありがとうございます。そうなんですか！？自分が調べたところだと別物なのかなと思っておりました…正直言葉選びは語感で決めていましたので、深くは考えてなかったです。ありがとうございます。 (2020年10月26日 22時) (レス) id: 94a6e4722e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お空の蒼い月 | 作成日時：2020年7月28日 23時
