言いくるめたい ２８ ページ30
椿「＿＿？」
窓越しで聞こえなかったけど、何か言ったのは分かった。
椿ちゃんは、四つん這いになり、地べたを這いずるように私達の窓の前に、ゆっくり来る。
震えた手で、指を鍵に引っかけて、後は重力に任せたように、ずるり、と腕は落ちる。
鍵が開いた瞬間、窓を開けて、窓枠を越える。
倒れた椿ちゃんを上半身だけ起こし、私に体重をかけさせる。
宮野「椿ちゃん！大丈夫！？」
椿「…せん、…」
カサカサで、青くなった唇から掠れた声で言う。
冷えて、震えた手を掴む。
宮野「大丈夫、大丈夫だから」
赤葦「主将と先生呼んでくる！」
宮野「うん、お願い」
震えた体を強く抱き締める。
虚ろになった目は、生気を感じない。
宮野「椿ちゃん、もう大丈夫だから」
大丈夫。
こんなの、根拠が無いなんて知ってる。
大丈夫で片付く訳が無い。
ああ、そういえば昔読んだ本であったなぁ。
『絶望から光を見た者は、光に取り憑かれ、また絶望を見るときには二度とは戻れない。それでもお前は光を見るか？』
この状況が、椿ちゃんなのか。
絶望の淵にいた、辛くて苦しい環境から安らげるところを見つけたのに、その安らげるところをも絶望と化してしまった。
宮野「椿ちゃん、ごめんね」
聞こえてないかもしれないけど、ごめんね、ごめんね、と必死に言った。
私がしっかりしてれば、こんなことにならなかったかもしれない。
大丈夫、よりもごめんねの方が先だ。
及川「Aちゃん！椿ちゃん！」
宮野「及川さん…？」
及川「椿ちゃん保健室に運ぼう！赤葦君、道教えて！」
赤葦「はい」
及川さんが、椿ちゃんをおぶる。
走り出した及川さんに、必死で、死ぬ気で追いかける。
だって、私には椿ちゃんと一緒に居てあげることしかできないから。
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チェシャ猫(プロフ) - お空の蒼い月さん» わざわざありがとうございます！忘れてしまったのなら思い出すまでです！！完結を迎えたこの作品を1から読み返すのみです！返信ありがとうございました！！ (2019年1月12日 5時) (
レス) id: 0582223455 (このIDを非表示/違反報告)
お空の蒼い月(プロフ) - チェシャ猫さん» ありがとうございます！エピローグの最後のは、言いくるめ １にて『神』の存在が何度か出てきました。その神が、言いくるめの数値を上げて、力を与えていた、みたいな絶対に忘れ去られている謎伏線です。分かりにくくてホントごめんなさい… (2019年1月11日 23時) (レス) id: 147a83b23d (このIDを非表示/違反報告)
チェシャ猫(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様でした！ところで、エピローグの最後の一文はどういう意味なんでしょうか……。察しが悪くて申し訳なのですが、教えて頂けると有難いです！m(_ _)m (2019年1月11日 22時) (レス) id: 0582223455 (このIDを非表示/違反報告)
お空の蒼い月(プロフ) - まいかさん» コメントありがとうございます！私としては「なんかテレビで見て使い勝手よさそうだから使ってみた」って感じだと思います。（特に何も考えてない人） (2018年11月28日 20時) (レス) id: 147a83b23d (このIDを非表示/違反報告)
まいか(プロフ) - 夢主政治家の使う善処使いやがった！それだけです (2018年11月28日 15時) (レス) id: 033696a261 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お空の蒼い月 | 作成日時：2018年10月2日 19時
