【ｄ！】薬売り兼魔法使いです！【軍パロ】 (ページ7)

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僕と契約して君の名を教えてくれページ7

「持ち物みてみましょう、何かわかるかもしれません。」

男がゴソゴソとポケットを探る間上着の金属の塊を確認してみた。
少し触れるだけで上質な布ということがわかる。
もしかしたらお金持ちなのかもしれない。

ブツを取り出した私は戦慄し動きを止める。銃だ。

「物騒なものが出てきたな。」

男が手の銃に目を向けている。
いや、あなたの持ち物ですけど？
手に持つのが嫌になり慎重に地面に置いた。

「ポケットに何か入ってましたか？」
「これが入っていた。」

手渡されたのは濡れてはいるが文字はギリギリ読める一枚のメモ。

『グルさんへ
　仕立屋呼ぶから部屋で大人しくしといてください。
　トントンより』

走り書きのようなメモに人名が二つ。
どちらかが彼の名前なのだろうか。

「このメモを見て何か思い出すことは？」

黙って首を振る。タオルで拭き切れなかった水滴が数滴地面に落ちていく。

「ただ、一つ言えることがある。俺はトントンではない。」
「それなら、あなたはグルさん？」

少し悩んでから口を開く。

「その名で呼ばれるのはしっくりくる。」
「では、名前がないと不便ですので思い出すまではグルさんということで。」
「……まるで思い出すまでそばにいるような口ぶりだな。」
「それは、そうですね。」

助ける理由は一つもない。
見捨てたら死ぬような子供ならいざ知らず、大の男だ。
自分が助けなくても勝手にするだろう。

「念のため聞いておきますが、お金などは持っていますか？」
「ない。」

改めて言うが彼を助ける理由はない。
一つあるとしたら見捨てた罪悪感から逃れたい、それだけ。

だからこの提案は良心や正義の心からくるものではない。

「私と契約を結びませんか？」