【ｄ！】薬売り兼魔法使いです！【軍パロ】 (ページ49)

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コルセットの魔法、対価は苦しみページ49

あれから一晩経ち、朝ご飯までご馳走になってしまった。
さすがにそろそろお暇せねばとメイドさんを呼び帰りたい旨を伝えると少し待つように言われる。

おとなしく荷造りをしていると、部屋の扉がノックされた。
メイドさんだけでなく鬱さんと見知らぬ男性が一人入ってきた。いや、この人は何時ぞやかのアクセサリーを売っていたお兄さん(女子高生)。
彼ら二人の両手には山ほどドレスが抱えられていた。

「お着替えしよか、好きなドレスを選んでな。」
「俺のおすすめはこの青いドレスやな、背中ががっつり出てセクシー。」
「だいせんせー、それはちょっと下品やない？」
「ここは大胆に攻めなきゃあかんよ！」

大の男がドレスについて揉めている。着るのは私なのだから私にお伺いを立てるのが筋では？
何と二人に文句を言おうか考えていると、メイド達は鬱さんとオスマンさんを追い出し、笑顔で戻ってきた。

それから彼女たちは容赦しなかった。

二時間後、私は煌びやかなドレスに身を包まれていた。時間をかけ化粧を施され、ヘアメイクもばっちり決まっている。

鏡に映る私は人生で一番綺麗だ。

…この美しさに至るまでのちょっとした地獄は忘れよう。
前の高級ブティックのお姉さん達は優しかったんだなぁ…。

コルセットで絞められた苦しい腹をさする。
在りし日の西洋貴婦人たちに心の中で敬礼をし、己の姿を目に焼き付ける。

「ええやんええやん、めっちゃキレイ。」

振り返ると鬱さんとオスマンさんが目を輝かせながら私を見ていた。
オスマンさんは私の手をとり、つけていた手袋をスッと外した。

「かわええけど、これは取っとこうな。」

つけにくいから、と呟く声が聞こえたが意図を知る由もなかった。

「じゃあ行こか、みんな待っとる。」

黙ってついて行くことしかできなかった。
違う、語弊がある。
私はドレスを着る前にとっとと出ていくこともできた。しかし、この綺麗なドレスを着てみたいという好奇心が勝ってしまったのだ。
そして、今彼らに着いて行ったらどうなるか、気になるのだ。

案内されたのは広い会議室だった。
どうやら使用中だったようで十数人の人間が椅子に座り議論していた。
中には見たことのある顔がちらほらあり、動揺が隠せない。

一番奥に座っていたグルさんが嬉しそうに駆け寄ってきた。
さすがにそろそろ彼の口から事情を説明してほしい。