【ｄ！】薬売り兼魔法使いです！【軍パロ】 (ページ44)

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熱に浮かされおやすみなさいページ44

「Aちゃんってどこ出身？もしかしてどこかのお嬢様？」
「ただの一般人ですよ。」

「へー、ちなみに薬の知識ってどこで教わったん？俺も習いたいんよ。」

先ほどからずっと探られている。
私よりも何倍も、何十倍もさりげなく上手に情報を引き出そうとしている。
鬱さんが何者か知らないけどプロの仕事だなあ。

前に馬車で一緒になったとき、そこそこ警戒していたのに最後のほうは気を許して色々しゃべってしまった。

「あまり詳しくお話することはできないんですよ、すいません。」

馬鹿正直にすべてを話しても信じてもらえない可能性のほうが高い。
危険人物としてみられてしまう。

いや、すでに危険人物としてみられているのかもしれない。

例えば麻薬の密売人と思われていても不思議じゃない。
だから探りに来ているのか。

「深い意味はないんや、Aちゃんのこと知りたくてな。」

考えれば考えるほどわからない。私は何に悩んでいるんだ。
頭がショートしそう。頭が痛い。

鬱さんは一体何を探りに来ているんだ？
鬱さんとグルさんの関係は？
そもそも私のことを探りに来ているのか？
もしかして自意識過剰だった？

「鬱さんは私のことどう思っていますか？」

考えても堂々巡りするばかりで、感情も思考もぐちゃぐちゃになった私の口は一人歩きを始めた。

「今私は鬱さんのことだけを考えているのに、鬱さんの考えていることがさっぱりわかりません。それが悔しくて悔しくてたまらないんです。」

鬱さんが慌てている気がする。
けど私の口は止まらない。

「グルさんだってそうですよ！私に隠し事ばっかりで！重要なことは話してくれない！」
「Aちゃん、落ち着いて。」

視界がぐるぐるしてきた。全身から汗が噴き出している感覚があるのに寒い。

「私も隠し事してるけど！隠し事されていい理由にはならないじゃないですか！」

鬱さんが私の首と額に触れてきた。手が冷たくて気持ちがいい。
なんで鬱さんは私に触れてきているのだろうか。

頭が重い、周りの音が聞こえにくい気がする。
吐く息が熱い。

「Aちゃん、すっごい熱いけど具合悪いんちゃう？宿どこ？送ってくから。」

心配そうに私に話しかけてくる鬱さん。そこに悪意は一切感じられない。
その事実に安心して目を閉じた。