【ｄ！】薬売り兼魔法使いです！【軍パロ】 (ページ41)

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計画通り（違う）ページ41

「ここが我々国だ。」

彼女の手を取り、馬車から降りやすいようにエスコートした。

町並みは平和そのもので茶会に招かれた日から何も変わっていない。
恐らく自分が誘拐されたことは国民に知らされていないのだろう。穏やかな時間が流れている。
それに反して俺が行方不明になったことを知っている人間は今どんな気持ちで俺を待っているのだろうか。きっと心穏やかではないだろう。

彼女を城に連れて紹介したらあいつらどんな顔するか、想像するだけで笑いが止まらない。

記憶を失い、取戻し、我々国に帰ってくるまで長いような短いような。
仕事から解放され楽しい時間を過ごしていたから短く感じていたが、他の連中は長く感じただろうな。何せ総統が行方不明になっていたからな。

茶会までの道中、襲撃に遭った際、俺は崖から川に落ちて記憶をなくしたらしい。
その後ピオリンの町で記憶を取り戻した俺は、目の前にいたトントンとゾムから金を借りた。

「今は理由を言うことはできない、しかし国を揺るがす事態に繋がるかもしれないから金を貸してくれ。」

そう、めちゃくちゃ適当なことを言った気がする。しかし二人は神妙な顔つきで金を渡してくれた。
否、適当ではない。ある意味国を揺るがす事態だ。

正直なことを言おう、Aを嫁に迎え入れたい。
そのために逃がさないよう慎重に我々国まで連れてきたのだ。
国のトップが妻を娶ることになったら国を揺るがす事件だからな、俺は間違ったことを言っていない。

隣で街並みを眺める彼女に目を向ける。楽しそうだ。
多分、まだ何も気づいていないだろう。

実は記憶が戻っていると知ったら驚くだろうなあ。

・・・まだばれてへんやろ。