【ｄ！】薬売り兼魔法使いです！【軍パロ】 (ページ19)

今日:12 hit、昨日:9 hit、合計:527,783 hit

殺伐な空気になってるとは知らなかったんです！ページ19

「大先生、お前が見た時グルッペンは拘束されてたんか？」
「そういや、仲良く並んで歩いとったな。縛られてないから逃げる気になればすぐに逃げられたはずや。」
「つまりや、グルッペンは物理的に逃げる気になれば逃げられる状況にも関わらずあの女から離れない。離れられない理由があるはずや。例えば、脅しとかな。」

沈黙。三人で顔を見合わせ、答え合わせをするかのようにゾムが声を上げる。

「今ここで結論は出せん、かといって脅されとるんなら今すぐ追いかけて女ふん縛るわけにもいかん。複数犯やったら後が面倒になるからな。俺らにできることはあの女の目を盗んでグルッペンに接触することや。そんで態勢を整えてから救出。」

ある程度自由に行動できたのなら部屋にメッセージの一つでも残されていてもおかしくない。まずはあの女の泊まっていた部屋の捜索を部下に命じなくては。俺も探すことにする。

それにしても、人は見かけによらないとは言ったものだ。あんな人の好さそうな女の子が一国の総統を誘拐だなんて。朝食を用意したところを見ると酷な扱いはされてないかと思われるが、早々に救出しなくてはならない。

「大先生、馬車が行った方角はわかるな？あいつらが立ち寄りそうな町を、馬車に乗ってることに注意して探せ。いや待て、やっぱりそれはゾムに任せたい。大先生は宿のおばちゃんにあの女のことを聞いてこい。」

俺は部屋の調査だ。なんでもいいから手がかりを見つけねば。

「はっくしゅん！」
「風邪か？医者のくせに。」
「医者じゃなくて薬売りです。あるいは薬師ですかね。」

昨夜のうちに呼んでいた馬車は扉についている窓が割れ、風がぴゅーぴゅー入ってきて少々寒いのだ。(そのぶんは交渉し割り引いてもらった。)隣に座るグルさんにくっつくと結構暖かい。

無事に暗殺者(仮)のいたリプティンの村から離れることに成功した私の頭には別の不安が占められていた。素人が薬売ってて大丈夫なんかな？
薬学生の私が元居た世界でお薬を売る場合、法的な問題が発生する。それはこの世界でも同じことが言えるのではないのだろうか。だが小さなリプティンの村では問題なかったし、追及もされなかった。ただあの村人たちが緩かったのか、ここら一帯の国が緩いのかが問題だ。今後探り探りやるしかない。