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近くで見て確かめようと、中へ入りテーブルに近付く。
口を開けたまま固まってるA。
手にはスプーン。
テーブルの上には食べかけのオムライス。
俺を見たまま動かない。
本物？ え？
もっと近くないと分かんないな。
Aの座る向かい側の椅子を引いてみると、目が大きく開いた。
あ、本物。
椅子に座ると、俺から目線が外れスプーンを持つ手は正常に働く。
視線は真下のオムライス。
こうして見ると、本当に痩せた。
ぷにってても可愛かったけど、痩せるとAが言われたい美人に近付いた気がする。
やっぱりどう見ても、タイプなんだよなぁ……それが駄目なんだよな……。
「……飯、ちゃんと食べてんの？ 」
「今食べてる」
「そーいう意味じゃないんだけど、痩せたからさ」
「……ベクが、」
「ん？ 」
「何でもない」
何でもないわけないのに、Aがオムライスを食べる事を再開し始めたから、黙ってそれを見守る。
ギョンスちゃんと面倒見てんのかな。
宿舎に来て飯食べてるって、どーいう事だよ。
やっぱり金無いとか？
じゃなきゃ普通は家で食べるよな。
「……首、どうした？ 」
コップのお茶を飲んだ時に、髪に隠れていた首元が露わになった。
そこに赤紫の明らかな歯型。よっぽと強く噛まれたのか血が滲んでるようにも見える。
ギョンスか？
いや、でもミンソクヒョンの可能性もある。
2人はAを抱いてるのに、俺はこうして話すのだって気を使う。
なんっでこんな事に……。
「みんなは？ 」
「まだ撮影してる。俺、忘れ物したから」
続かない会話。
首の事はスルーされた。
「それ、Aが作ったやつ？ 」
「うん」
「美味い？ 」
「普通」
俺が目の前にいるせいか、全然美味そうに食ってない。
けど2人っきりになるチャンスなんて、もうあるか分かんねーから、席を立つ事も出来ない。
それにここ宿舎だし、俺が嫌なら席を立つべきなのはAの方だろ。
「……家で食わねーの？」
帰る素ぶりを見せないAに、疑問を投げ掛ける。
もしかしたら俺と同じ気持ちなのかもとちょっとした期待を持って。
だけど返ってきた答えは、
「家に食べる物無いから」
「へ？ どういう事？ 」
「言ったままの意味だけど」
「いつから？ だから痩せてんの？ 」
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作者名：もにか
| 作成日時：2017年1月14日 1時
