愛ってなんだ ページ9
朝からのスケジュール。
出発ギリギリに起きたせいで、iPhoneはベッドの上。
正直、休憩時間の暇潰しに困る程度で、取りに帰る程じゃない。
仕事の活力にもなってたメッセージは
もう来る事も無いし、
俺から送る事も無い。
けど、やっぱり持ってなきゃ不安になるのは、依存なのか、これ。
全員の撮影が終わった後のソロ撮影。
マネージャーに頼み込んで1番最初にして貰って、アンケートは家で書くとタクシーで1人宿舎に帰って来た。
部屋に入って、すぐに目についたiPhone。
当たり前に、Aからの連絡なんて無い。
そりゃそうだよな、ギョンスと上手くいってんだから……。
あいつ、鍵返す素ぶりないし、
人の家で乳繰り合ってるとかあり得ないと思いつつ、
解約してしまうと、Aが宿舎にも来なくなる気がして行動出来ない。
ギョンスの事だから俺と違って、ここからは遠い所にAの部屋を借りる筈。
すぐ会いに行ける。
それだけで決めた、この下の部屋。
もっと深く考えるべきだったと、今更後悔しても遅い。
だけど、もし宿舎から離れた場所に借りてたら？
もし、メンバーにAを紹介しなかったら？ って
今も一緒にいた筈だって思ってしまうのが本音で。
「俺、こんな未練がましい男だったんだ」
トイレを済ませながらボヤく。
あー、、、最後にヤったのいつだ？
過去の恋愛からは、考えられなかった。
元カノは大体友達に戻るタイプだし、振られてもすぐ次がある。
声を掛けると、みんな嬉しそうな顔して付いてくるし、
今だって、どんな可愛い子も、どんな綺麗な子も落とす自信はあるのに。
頭にあるのは、あの浮気女の顔。
年上なのに童顔のせいで、そうは見えなくて
可愛くて可愛くて可愛く………ああー、
Aの顔が頭に浮かぶと、もれなく付いてくるギョンスの顔。
まさか、ミンソクヒョンじゃなくて
ギョンスに取られるなんてな、、、ん？
幻……かこれは。
開いたリビングのドアの先に見えるのは、テーブルに座って口を大きく開けるA。
Aの靴、無かったよな。
無い無い無い。いつも確認して入ってるし。
俺、恋しくて、変なもん見えてる？
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作者名：もにか
| 作成日時：2017年1月14日 1時
