もっと！スキャンダラスな四角関係 ×4 (ページ23)

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ニックは歩くのに必死だから、わたしだけがペラペラ次から次へと話してる。

韓国にはカップルのイベントが多過ぎる事。
だけどわたしには無縁の事。

会話が成立しないのをいい事に、溜まってた愚痴がわーっと溢れ出す。

「……日本ではね、最後の雪を一緒に見たカップルは別れるってジンクスがあるよ。終雪は雪の別れだから」

それまで聞いてるのか聞いてないのか分からない様子でスタスタ歩いてたのに、急に立ち止まるニックの足。

「今日最後の雪かなぁ？ジンクス通りなら、ギョンスとはお別れだね」

顔を見上げても、眉一つ動かない。
だってニックだし。

「早く帰ろ？寒い」

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凍りそうだった外から、暖かい部屋に入ったから顔が一気に火照ってあつい。

「ギョンス、それいい加減外せば？」

マフラーとコートを脱ぐニックは首を横に降る。
中々の強情っぷり。もう今日はずっとこれなのかな。

若干の疲労が見えるニックがソファに吸い寄せられそうだったから、「ストップ」を掛け、正面に回り込む。

「……ギューして？会えなくて寂しかったから」

手を広げて待機。

ゆっくり伸びてきたニックの腕は、遠慮気味にわたしを抱き締める。

やっぱりこの香り、胸いっぱいに吸い込みたくなる。

「ギョンスの匂い本当好き」

でも、しうちゃんの匂いも大好きなんだよね……。

頭の中がサトラレたのか、抱き締める腕が急にぎゅーっと痛いくらいに強くなった。

「……ギョンス風邪は？しんどくないの？」

本当に風邪引いてるなら、悪化する事ばっかりしてるけど。

《今は大丈夫》置いてたメモ帳とペンによって返事が来る。

「じゃあ、ご飯作って。ギョンス今日ビーフストロガノフ作ってくれるって約束してたよね？」

食べたいけど、わたしはそんなめんどくさい物作れない。

《ごめん、なんかしんどくなってきた》

「え！大丈夫？ごめん。スーパーなんか連れてったから。どうする？帰って寝る？」

《ベッド借りていい？ちょっと寝たら大丈夫だと思うから》

「うんうん、いいよ。寝て。あと、それやっぱり取った方がいいよ」

《いや、Aに移ると困るから》

「そう？ならいいけど」

予定も無いし全然困んないのに。
それに風邪引いたら優しく看病して貰えるし……。