□ ページ17
「チゲは、ギョンスオッパの動画100回くらい見たので絶対勝ちます! 」
二回戦のゴングが鳴る前、そう語っていたAだったが、なんと、今回も8対1という大差で負けてしまった。
どうする? もう後が無いんじゃないか?
敗因はどうやら、ギョンスの美しい手ばかり見て分量を正確に覚えていなかった事らしい。
おーっと、ここで審査員達が何やら会議を始めた模様。
「三回戦の勝者は100ポイントです」
なんと!! カレーライスとキムチチゲが無かった事にされてしまった。
これは、サランより少し長い付き合いのAへの情状酌量といったところか?
「次のお題は、冷蔵庫の残り物で作るご飯です」
先に動き出したのは、サラン!
すぐに冷蔵庫を開け目星い物を手に取っていく。
遅れを取ってしまったA、材料は残っているのか!?
「「出来ました! 」」
両者の声が揃った。
Aの皿には色鮮やかな野菜達が1cm角に切り揃えられている。見た目も抜群! これは、流行りのチョップドサラダか?
対するBの皿。
な、なんだこの料理は! 遠くからでは分からない。
おーっと、近付いて見るとその正体が見えてきた。
どうやらパプリカ、玉ねぎ、ウィンナーをケチャップで炒めた物らしい。
まさに、冷蔵庫の残り物!
この戦い、既に勝敗が付いている雰囲気が大いに漂っている。
「真剣勝負ですので、本当に美味しい方に投票して下さい! Aさんだって、お情けで勝っても嬉しくないですよね? 」
「え! う、うん」
先を見越してのサランの発言に狼狽えるA。
どうやらそのお情けを期待していた様だ。
メンバー達、もうこれは覚悟を決めるしかないぞ。
おや、数人のメンバーの目頭が熱くなっているのが見受けられる。
今から別れを察して泣いているのか。
「今回の勝負、A、8票、B、1票で、勝利はサラン! 」
終わった。Aの戦いが終わってしまった。
こんなにも呆気なく、脆く。一瞬で。
今迄、自分は何をしてたのかと、Aの頰を伝ったのは、一筋の涙だった。
「みなさん、お世話になりました」
トレンチコートに身を包み、スーツケースを片手に頭を下げる姿。
こんなにもしおらしいAを見るのは初めてだと、その場の誰もが思った。
「待って下さい! 」
声を掛けたのは意外にもサラン。
「見てください! これ! 」
サランの手にあるのは3枚のメモ用紙。
「これが、何? 」
2381人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「EXO」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もにか | 作成日時:2017年1月14日 1時