その彼氏、過保護につき！【紫】

配信2 ページ6

「質問がきてまーす！」


「おー？」


「いっちゃん、なーくん。こんばんは」


「こんばんはー」


「なーくんの好きなところを教えてほしいです！ということで」


‘気になる’

‘知りたいなー！’


「え、これガチのやつ？」


「ガチですww 」


「ちょっと待って。考えるわ」


人が真剣に考えてるのに、なーくんが肩に顔を押し付けてぐりぐりするから集中できない。


「どうしたの？」


「んー」


んー、じゃわからないですよ。


「なーくんの好きなところはーもうね、ありすぎて言い切れない！この二時間の内に収まんない！本書けるからマジで」


‘模範解答ww ’

‘さすがですなw’


「なーくん？どうしたの？」


抱きしめる力を、さらに強くしてきた。


「えぇー？」


思わず間抜けな声が出ちゃったじゃん。


「本当に、どうしたの？」


心配になって、後ろを振り返る。


ちゅ、聞こえるか聞こえないかくらいの小さなリップ音が鳴った。


「な、な、な、なーくん!?」


配信だからって分かりやすく動揺してしまう


‘どうかしたの？’

‘なんかあった？’


良かった、バレてはない。
なんか、凄くいけないことしてるみたい。


「ちょっと、ごめんね〜」


そう言って、なーくんはミュートにした。


「．．．不安だったの」


「へ？」


思いがけない答えに、今度はすっとんきょうな声が出る。


「Aがオレの好きなところないって言ったらどうしようって考えちゃって」


そんなこと？なーくんの好きなところなんて、毎日増え続けてるけどな。


「大丈夫だよ。好きなところがない人なんかと付き合ったりしないよ？」


「だから、安心してね」


俯くなーくんの顔を覗き込んで明るく言ってみせた。


「．．．ありがと」


なーくんの顔が赤い、照れてる！
ミュートを急いで解除した。


「皆、なーくんが照れてるよ！」


「ええっ!?ちょっと！」


‘マジで!?’

‘見たい！’


「なーくん、可愛い」


私が、ぼそりと呟く。


「．．．うるさい。Aは、もう寝なさい」


「はーい」


なーくんは冷静さを必死に保とうと頑張っています。
そんな姿を後ろから見守っていると。


「やっぱり、こっち来て」


また、なーくんの膝の上に座る。


「落ち着くからこれで。Aはいるだけでいいよ」


そうは言われましても、時々こっそりキスするのやめてもらえませんか？
こっちは、恥ずかしさで心臓が爆発寸前なんです。

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