検索窓
今日:2 hit、昨日:6 hit、合計:14,494 hit

十話 ページ11

そしてついに、鳴宮湊くんは両手に弓矢を持ち執弓(とりゆみ)の姿勢で入場し、本座でに立った。

作法に則り足踏(あしぶ)み、胴造(どうづく)りをして、的を見る。弓構(ゆがま)えをしたら、打起(うちおこ)し、引き分けて、(かい)を────


カーンッ


会に入る前に矢ははなたれていた。
そのまま矢は安土に刺さる。


(もしかして早気……?)


「はやっ。」

「離すの早い。」


七緒くんや花沢さんが声を出してしまう。トミー先生も驚いた顔をしていた。本当に驚く程早いのだ。
その中で一人だけ曇った顔をしていた人がいた。竹早静弥ただ一人だけ。


「みんなに見られてて緊張したのかのぉ。さ、もう一回じゃ。」


トミー先生がそうフォローの言葉をかけた。

もし、鳴宮湊くんが早気が原因で弓をひくのを拒否していたのだとしたら……。彼の気持ちは今、どうなっているのだろう。


(こんなの、私には耐えられない……。)


そのまま乙矢(おとや)(つが)えるが、その手は震えていた。
そして、先程より早くはなたれた矢。その矢は安土にさえ届かなかった。




そのあと、男子の更衣室の辺りから聞こえてきた小野木くんと鳴宮くんの声。

更衣室から出てきたところで遼平は鳴宮くんに声をかけるが、鳴宮くんは竹早くんに先程まで着ていた体操着を押し付けさっていった。


「竹早くん、彼はもしかして……。」

「早気です。」


トミー先生が竹早くんに問うと竹早くんは即答した。なんの迷いもなく。


(彼らは一緒の学校だったのかな……?)




〜・〜・〜


一応弓道用語について書いておきます。


執弓(とりゆみ)の姿勢:両手に弓矢を持ち、両拳を腰にとった状態。

本座(ほんざ):(ゆう)をする位置。

(ゆう):浅い礼のこと。

足踏(あしぶ)み:足を踏み開く動作のこと。

胴造(どうづく)り:矢番(やつが)えを終え、身体を正しくする動作。

矢番(やつが)え:矢を弦につけること。

弓構(ゆがま)え:右手を弦にかけ、矢を押さえ、打起しに入る前の動作。

打起(うちおこ)し:両手を頭上に上げる動作。

()()け:両手を左右均等に引き分ける動作。

(かい):引き分けが完成された状態。

安土(あづち):的を付けてある土。

乙矢(おとや):偶数番目の矢。奇数番目の矢は甲矢(はや)



間違っていたりしたらコメントにて教えてください。

十一話→←九話


  • 金 運: ★☆☆☆☆
  • 恋愛運: ★★★☆☆
  • 健康運: ★★★★★
  • 全体運: ★★★☆☆

ラッキーカラー

あずきいろ


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
71人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:chatnoir-黒猫- | 作成日時:2018年12月4日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。